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僧侶が読経し、有給を“浄化”、供養するイベントが開催 会場には灯篭約300基雨天中止も一転開催

» 2019年12月13日 06時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 消化できなかった有給休暇を“浄化”する。そんなユニークなイベントを12月10日、Webコンテンツ制作会社の人間(大阪市)が実施した。イベント名は「有給を供養する灯籠ナイト『有給浄化』」。もともと勤労感謝の日である11月23日と前日の22日に東京で開催する予定だったが、雨天中止となっていた。

会場に並んだ灯篭(写真提供:人間)

 イベントでは、有給休暇を「魂」に例え、供養した。開催に先立ちWebサイト上で「有給をとれなくて悔やまれた体験」を募集。エピソードを灯篭に仕立て上げ、浄土宗西念寺の僧侶である佐山拓郎氏が読経、供養した。佐山氏自身も会社員時代、月に200時間の残業をこなし、結婚休暇を取得できなかった過去があるという。会場にずらりと並んだ灯篭を下からライトアップし、会場は何ともいえない光景となったようだ。

 灯篭には集まったエピソードと取得できなかった理由を「戒名」として記したという。エピソードには、「親族の葬式に参列できなかった」「結婚旅行に行けなかった」といったものが集まった。「有給休暇を使えてよかったエピソード」も募集しており、これをもとに有給休暇の使い方を提案するおみくじ「やすみくじ」も提供した。

本物の僧侶が読経(写真提供:人間)

 人間の担当者にイベントの狙いを聞いたところ「取得した有給休暇はどこかに行ったり、家でゆっくり休んだりと“形”になるが、取得できなかったものは見えないもの。有給休暇の尊さを灯篭という形で可視化することで、大切さをより感じられるようにした」と話した。いったん雨天中止となったイベントを一転して開催したことについては「いろいろな人の思いを背負っているので、しっかり供養したかった」とコメントした。

成仏を願う僧侶(写真提供:人間)

 人間では18年から勤労感謝の日にイベントを開催している。18年にはブラック企業をテーマにした参加型の演劇イベントを実施。各企業の管理職らを中心に30人が参加し、事前に集めたブラック企業エピソードを体験した。担当者は「働き方に対する問題は、難しくまじめに伝えてもなかなか伝わりづらい。あえて面白く表現することで、分かりやすく伝わるはず」と話した。

休み方を提案する「やすみくじ」(写真提供:人間)

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