問題の一つに、責任と権限の不一致がある。長らくトップダウンで組織を引っ張ってきた藤堂社長はその限界を感じ、自身の独壇場ではなくガバナンスのきいた法人格になる必要があると考えていた。だからこそ幹部に「事業部長」という責任あるポジションを与えたのだが、目指すゴール地点に到達するスピードを重視するあまり、つい口出ししてしまうのである。
つまり、与えている「責任」に見合うだけの「権限」を結局のところ委譲できていない。結果として幹部は、責任を負う意味を見失い、組織変革は進まずにいた。
こうした問題に対しては、意思決定のあり方を見直すことで解決を図る必要がある。事業部長自らが現状の問題点、課題、それに対する有効な施策案を提示し、社長個人ではなく、共通の判断基準に基づいて意思決定していくことで、透明性があり納得度の高い事業運営スタイルに昇華されていく。こうした経営会議のトランスフォームにより、徐々に本当の意味での「責任と権限の一致」が実現されるだろう。
もう一つ重要なことは、トップと幹部メンバーとの目線合わせである。おそらく、幹部のスピード感は物事を早く進めたいトップからすると非常にもどかしい思いも感じるはずだが、トップと幹部が繰り返しコミュニケーションを取る中でピントやスピード感が合っていく。自分と共通のビジョンや時間軸を持った経営幹部人財を何人育てられるかが、組織のステージを一段上げる上では最優先課題と言えるだろう。
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