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働き方改革の失敗にはパターンがある 試行錯誤の末に見えてきた「変革に欠かせない」5つのポイント働き方改革を阻む「抵抗」「不安」「失敗」との戦い方(3/4 ページ)

» 2019年12月25日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]

「対等な関係」になれない会社とは縁を切る

沢渡: 小川さんが挙げた5つのキーワードの真逆をやっている企業は、働き方改革がうまくいっていないですよね。

 特に「コラボレーション」は重要です。レガシーな会社は、クライアントとの関係を「取引」という文脈で考えがちですが、令和の時代に大切なのは「コラボレーション」なんですよね。

 「取引の関係」は、基本的には「上下関係」で成り立っていて、対等ではない。自分たちが格上だと思っているような会社は、こちらからの提案を聞こうとしないし、時代遅れの古い論理を押しつけてきたりするわけです。そんな態度を取っていたら「いいコラボレーターが逃げていく」とか「エンゲージメントが下がる」ということが、まるで分かっていない。

小川: 僕もグロービスでそれを学びました。

 グロービスには企業規模や役職、性別、年齢が異なる人たちが学びに来ていて、こうした“全く立場が違う人同士”が対等にコラボレーションしながら、さまざまなプロジェクトを進めたり、架空のビジネスモデルを作ったりするんです。これが実にうまく機能して、リアルのビジネスの場でも同じだと思ったんですね。

 当社の社員は、過去には取引先のオフィスに常駐して仕事をするケースも多かったいのですが、対等な関係を結べていない企業では、社員がどんどん疲弊していくんです。よくよく聞いてみると、上下関係の中で仕事をしていて、身が削られている。そんなことがあってから、対等な関係で仕事ができない企業との仕事は、やめることにしました。

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沢渡: これからは「取引型」「受発注型」の関係から、「コラボレーション型」の関係に変えていかないと、ビジネスで新たな価値を創出できないし、優秀な人材も集まらない。これは間違いなく全国的に起こりつつある変化です。

 仕事をする相手を自分たちで選ぶ――というのは、働き方を変える上での重要な視点です。そこでも重要なのが「組織のブランディング」なんですよ。「誰を信頼するのか」「誰と仕事をするのか」を判断するためには、まず「自分たちが何ものなのか」「何を成すために仕事をしているのか」を分かっていなければならない。

 だから、「私たちはどこで勝っていく会社なのか」「何を大切にする会社なのか」という、明確なビジョンを策定した上で、社内外に伝えていく必要があります。

 「自分たちが何ものか」ということを外に発信し続ければ、それに共感する人や企業が集まってきますから、その中から新たな価値を創出する仕事や、コラボレーションが生まれてきます。これから社会は複雑化する一方ですから、1つの会社が単独で解決できることは少なくなっていきますよね。だからこそ、企業はコラボレーション型に変わっていく必要があるんです。

小川: ノキオスタイルについて発信するようになってからは、「働き方を変えていきたい」「女性活躍を支援したい」という、NOKIOOのメッセージに共感する企業の方からの問い合わせが増えましたね。依頼される仕事はWebマーケティングですが、「そこだけじゃなくNOKIOOとお付き合いしたい」といってくれるお客さんが増えています。

沢渡: まさにビジョンやポリシーに共感してくれる企業が集まってくる「共感経営」を体現しているわけですね。

 大企業にありがちな「うちは、誰もが知る大企業だからこっちを向いてくれるはず」というようなブランドマネジメントは、勘違いも甚だしい。これからは「当社とつながることで相手の企業がどう成長できるか、それに伴って自社がどう成長するのか、関係する社員はどのようにしてプロフェッショナルとして成長していけるか」――と、ここまで考えた上で、共創するか否かを判断する時代です。

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