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働き方改革の失敗にはパターンがある 試行錯誤の末に見えてきた「変革に欠かせない」5つのポイント働き方改革を阻む「抵抗」「不安」「失敗」との戦い方(2/4 ページ)

» 2019年12月25日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]

「働き方改革に欠かせない」5つのポイント

小川: :どうしてうまくいかないのか、なぜ、これほどまでに齟齬が生じるのか、なぜ組織が沈滞ムードなのか――といった課題を乗り越えながら、NOKIOOらしい働き方を模索する中で、ようやく軸となる考え方が定まってきました。

 キーワードは「オープン」「コラボレーション」「性善説ベース」「やり方を小刻みに変える」「仕事をデジタル世界に置く」の5つです。

 中でも「オープン」は、重要なポイントですね。社内の情報をオープンにするのはもちろん、自分の考えていることを相手にオープンにすること、役職や立場にかかわらず、情報を隠さずオープンにするのはとても大事なことです。秘匿性の高い情報以外は、どんどん公開するような仕組みに変えています。

 オープンな環境があってはじめて、コラボレーションがうまく機能するようになります。社内に情報格差がなければ、役職や部署が違う人でも話のネタに困ることがありません。こうして信頼関係が生まれれば、性善説ベースでコミュニケーションできるようになりますから、離れた場所にいても過度な管理やコントロールをすることなく、社員が自走して仕事をするようになる。

 そして社員それぞれが、もっといい仕組みや考え方を思い付いたらそれを共有し、アジャイル的に「やり方を小刻みに変えて」いけばいいわけです。「変える」というのは、決して「計画性がない」とか「物事を深く考えてやっていない」という話ではなく、「変えていくことが僕らの強み」という考えです。

 あとは、「仕事をデジタル世界に置く」という観点で、働き方を変えていくことです。ここで重要なのは、「オープンであること」や「性善説で人と接すること」「コラボレーションをうまく機能させること」が先にあって、それを体現する上での手段として「仕事をデジタル世界に置く」ことができる――という点ですね。

沢渡: 確かに、働き方改革がうまくいかない組織の問題は、「残業抑制」「女性活躍」「在宅ワーク」などといった“細かな施策”だけが一人歩きしているところにあるんです。

 働き方改革を考える際のスタート地点は、「未来に向かって自分たちの組織がどうありたいか」を考えることなんです。

 これはまさに、組織のブランディングの話ですよね。「われわれの存在価値はここにあって、ここを目指すからこういうやり方なんだ」というビジョニングからスタートして、そのビジョンに共感する人を時間を掛けて採用する。

 それと同時に、「志を同じくする外の人」と積極的にパートナーシップを結んでコラボレーションし、共創関係を広げていく――。ここがうまくいっている会社はブレないですよね。ここまで来れば、性善説ベースのマネジメントが機能するようになります。

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