富山: 「人間中心」という点で言うと、Amazon Goに初めて行ったときの体験は衝撃でした。接客専門の方がいて、3日連続で行ったら顔を覚えてくれて、「今日は調子どう?」と話しかけてくれたんです。当時、日本のメディアはAmazon Goを“無人コンビニ”と表現することが多かったのですが、実態は違いました。Amazon Goがやったのは、「売り場が接客に注力できるよう、その他の作業を極力なくす」ということなんです。
僕は反省しました。サツドラも他の店舗もそうですが、人手不足にもかかわらず、売り場には、「品出しして在庫管理して、あれもしてこれもしながら接客もして笑顔でいてね」って無理ゲーをお願いしていたんですから。
喜多羅: Amazon Goを観察したら、「実店舗が何を価値として提供すべきなのか」が見えてきたんですね。
富山: 今、サツドラ月寒西1条店には、96台のAIカメラが付いています。他にも2店舗で試験導入中です。売り場の作業をITでサポートし、本来の接客に人員を充てられるよう開発を続けますよ。
長谷川: 先日、沖縄と福岡でIT酒場放浪記をやってね。人口が減って市場が縮小し、雇用も生まれにくい、そんなネガティブな話題ばかり先行する地方でも、どこかに突破口があるんじゃないかって思ったんですよね。これについては、ぜひ富山さんの考えを聞いてみたいな。
富山: 僕は、これからは地方の時代だと思っています。行政が主導する「町おこし」や「地方創生」に期待しているのではありません。地方が「補助金漬け」を脱し、ビジネスで自活するために、地方が自ら仕掛けて新しい価値を提供し、グローバルで稼ぐという考えです。
僕ら沖縄と馬が合って、18年に北海道と沖縄の企業コミュニティーを結ぶ「どさんこしまんちゅプロジェクト」をスタートしました。「プロジェクト100」を合言葉に、たくさんのチャレンジをしようとしていて、すでに約30のプロジェクトが成立しています。
例えば、沖縄でもEZOCAのような地域共通ポイントカードを始めようとしていたり、夏は涼しい北海道、冬は暖かい沖縄で働く仕組みを作ってIT人材を行き来させようとしたり、白い恋人の石屋製菓が沖縄土産を作ったり、お互いの良いところを掛け合わせて「他にはないシナジー」を生み出そうとしているんですよ。
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