東急電鉄が「サブスクパス」を導入、狙いは?(3/4 ページ)

» 2020年01月24日 07時26分 公開
[小林拓矢ITmedia]

「サブスクパス」のビジネス的意味

 この「サブスクパス」は、電車の運賃を考えただけでは、少しお高いサービスとなっている。距離の長そうな、中央林間から渋谷までの移動を考えると、片道340円、往復680円となっており、それを毎日往復しただけではもとは取れない。バスでの移動が必要な人は、有用なサービスだ。東急バスは東京都内や横浜市内で片道220円、川崎市内で片道210円である。

 では、それなりに使わないとお得感が出ない「サブスクパス」をなぜ設定したのか。「東急沿線の人たちに東急のサービスを利用してほしい」という意味合いを含んでいるはずだ。

 東急は最近の大手私鉄が掲げる「選ばれる沿線」という方針に早くから取り組んでいる。近年も、ショッピングセンター「南町田グランベリーパーク」などの開発を実現させ、東急線内で生活が完結しやすくなっている。東急線内を移動すれば、商業施設などが各地にあり、それらで日常生活を楽しんでもらいやすくするというのがこの「サブスクパス」の目的だろう。

 電車・バスの全線を利用できるようにして、東急沿線の各地を楽しんでもらう。利用者には気分のいい生活をしてもらい、沿線の活性化にもつなげたい意図が感じられる。

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