東急電鉄が「サブスクパス」を導入、狙いは?(4/4 ページ)

» 2020年01月24日 07時26分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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他私鉄での「サブスクパス」の可能性は

 他私鉄でもこういった「サブスクパス」があってもいい。例えば路線距離の短い京王では、こういったパスがあると便利だ。バスについては、場合によっては小田急バスの協力も必要だろう。京王沿線では小田急バスも多く走っているからだ。食べ物は、そばの代わりに「Curry shop C&C」のカレーにするのはどうだろうか。

 小田急のように路線距離が長いと、考えを変えなくては適用できない。小田急は新宿から相模大野あたりまでと距離を限定し、バスも小田急バスだけではなく神奈中バスに協力してもらうのもありだろう。小田急は「箱根そば」が充実しているので、こちらはそのまま適用できそうだ。

 沿線ネットワークと、各社で行っているそれぞれの事業の距離が近ければ近いほど、鉄道のサブスクは可能性が高くなる。鉄道自体も、本来は利用した距離に応じて運賃を払うサブスク的なサービスであり、定期券は途中下車が可能で寄り道などが追加料金なしでできるシステムになっている。

 東急電鉄が今回全線利用可能な「サブスクパス」を出したことは、鉄道事業にも沿線開発事業にも自信があるということだろう。ただ、多くの鉄道会社が沿線開発に力を入れるようになったいまでは、鉄道の利便性も再び向上させなければ「選ばれる沿線」になりづらい構造になってきたのかもしれない。東急電鉄の「サブスクパス」発売の背景に、こうした事情があるように感じる。

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