さて、いろいろとべき論を具申したが、スバルが自らの未来像を語り始めたことには大賛成であり、期待が高まる。新しいことを始めて最初から満点を取れるはずもないので、一歩ずつでも前進していけばいい。
さて、それではここから発表内容を簡単にサマリーしていこう。
まずは図を見てもらうのが早い。トヨタと共同開発を進めるCセグSUVの電気自動車(EV)は数年以内に市場導入する。ハイブリッド(HV)については、すでに導入済みのマイルドハイブリッド(MHV)とプラグインハイブリッド(PHV)に続いて、トヨタのTHS2を縦置き用にコンバートし、水平対向ユニットと組み合わせて使う。これが20年代前半に投入予定だ。また30年代初頭には、モーターレスのクルマがなくなる予定である。
CO2削減のためのロードマップ。2030年に販売台数の40%以上を電動車(バッテリーEVとハイブリッド)とし、30年代にはエンジン車もすべてに電動技術を投入していく(SUBARU技術ミーティング資料より)
これはつまり、欧州のCAFEに代表される各国のCO2規制への対応を説明したものだ。CO2排出量に連動するクレジット(実質的な罰金)を回避できるようになるのは、順調に売れたとして25年くらいになると思われる。
HVについては写真を見ても分かるとおり、本来横置き用のTHSを縦置きに使うためトランスミッションの外径がだいぶ大きい。これがペダルレイアウトに及ぼす影響がどの程度になるかは少々気になる。場合によると通常とは逆にペダルオフセットが出るかもしれない。
スバルのHVシステム
- スバルが生まれ変わるために その1
筆者を、スバルは北米の有力ディーラーへと招待した。ペンシルバニア州アレンタウンの「ショッカ・スバル」は、新車・中古車を合わせた販売数で全米1位。新車のみに関しても、全米最多級である。「スバルは他と違う」と、この自動車販売のプロフェッショナルは、本気でそう思っている。けれど、具体的に何がどう違うのかが全く説明されない。北米ビジネスの成功について、何の戦略があり、何をしようとしているのか、それを知りたいのだ。
- スバルとトヨタ、資本提携強化でどうなるのか?
トヨタがスバルへの出資を強化して関連会社化するとともに、スバルもトヨタ株を取得する。スバルは、マツダ、スズキと並んでトヨタアライアンスにおいて、最恵国待遇を得たことになる。なお、ダイハツは、トヨタが全株式を取得し、すでに100%子会社となっている。つまり今回のスバルの株式相互保有によって、トヨタアライアンスの資本提携は一応の完結を迎える。
- スバルはこれからもAWD+ターボ+ワゴン
スバルは東京モーターショーで新型レヴォーグを出品した。レヴォーグはそもそも日本国内マーケットを象徴するクルマである。スバルは、日本の自動車史を代表するザ・ワゴンとして、レヴォーグはGTワゴンという形を死守する覚悟に見える。
- 自動車メーカーを震撼させる環境規制の激変
「最近のクルマは燃費ばかり気にしてつまらなくなった」と嘆いても仕方ない。自動車メーカーが燃費を気にするのは、売れる売れないという目先のカネ勘定ではなくて、燃費基準に達しないと罰金で制裁されるからだ。昨今の環境規制状況と、それが転換点にあることを解説する。各メーカーはそのための戦略を練ってきたが、ここにきて4つの番狂わせがあった。
- アイサイト 分かりにくい誠実と分かりやすい不誠実
スバルがレヴォーグに「アイサイト・ツーリングアシスト」を搭載。都内で行われた試乗会でこのツーリングアシストをテストした筆者はとても混乱した。それは……。
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