燃費については具体的な言及はないが、教科書通りに、エンジンの苦手な領域をモーターでカバーすることで、例えば低回転高負荷のような難しい領域で、エンジンを無駄に頑張らせないことによって、燃焼の良いところのみを使うようにする設計だ。
ハイブリッド専用の水平対向エンジンを使い、トヨタのハイブリッドシステム(THS)と融合させる(SUBARU技術ミーティング資料より)
素養として燃費に厳しい水平対向だが、燃焼が乱れがち(つまり燃費が悪くなる)な運転領域でのエンジンの仕事を回避すれば、意外に良い燃費になる可能性はある。ただし、トヨタのダイナミックフォースエンジンと戦えるほどに改善できるとも思えず、ここはデビュータイミングでの燃費のスタンダードがどの程度まで伸びているかにも依存するだろう。そういう意味では来たるべきxEV(順列組み合わせ的にバリエーション化された電動車両:xは変数を意味し、BEV、PHEV、HEVなど多数考えられる)の時代には、エンジンごとトヨタから調達して、シャシーと駆動でスバルらしさを示していく形にした方が妥当かもしれない。
さて、その他には1.8リッターの新設計リーンバーンターボエンジンが新型レヴォーグに搭載されて登場する予定だが、これについては詳細はまたもや発表されず。勝手に予測するしかない。それについては過去記事でかなりこってりと書いてあるので、そちらを参照されたい。
衝突軽減ブレーキのアイサイトについては、従来通りステレオカメラを中核としたシステムとして進化させていく。個別の機能の追加は現時点を示すものにしかならないので割愛するが、従来の衝突軽減の範囲を超えて、システムとしてはドライバー・モニタリング・システムとの連動を高めて、ドライバーの異常にブレーキ側が対応できる範囲を広めていく考えだ。例えば意識喪失したドライバーに代わってクルマを止めるとか、誤発進の抑止、脇見運転への警告などだ。すでに他社で搭載が始まっているハンズオフ機能(手放し運転)も搭載を計画している。
ステレオカメラにこだわるスバル。AIを組み合わせ、認識と判断能力を高めていく(SUBARU技術ミーティング資料より)
意識喪失や脇見運転などドライバーの状態、また誤発進や暴走など操作ミス対応を、ドライバーモニタリングシステムと連動させて実現していく(SUBARU技術ミーティング資料より)
- スバルが生まれ変わるために その1
筆者を、スバルは北米の有力ディーラーへと招待した。ペンシルバニア州アレンタウンの「ショッカ・スバル」は、新車・中古車を合わせた販売数で全米1位。新車のみに関しても、全米最多級である。「スバルは他と違う」と、この自動車販売のプロフェッショナルは、本気でそう思っている。けれど、具体的に何がどう違うのかが全く説明されない。北米ビジネスの成功について、何の戦略があり、何をしようとしているのか、それを知りたいのだ。
- スバルとトヨタ、資本提携強化でどうなるのか?
トヨタがスバルへの出資を強化して関連会社化するとともに、スバルもトヨタ株を取得する。スバルは、マツダ、スズキと並んでトヨタアライアンスにおいて、最恵国待遇を得たことになる。なお、ダイハツは、トヨタが全株式を取得し、すでに100%子会社となっている。つまり今回のスバルの株式相互保有によって、トヨタアライアンスの資本提携は一応の完結を迎える。
- スバルはこれからもAWD+ターボ+ワゴン
スバルは東京モーターショーで新型レヴォーグを出品した。レヴォーグはそもそも日本国内マーケットを象徴するクルマである。スバルは、日本の自動車史を代表するザ・ワゴンとして、レヴォーグはGTワゴンという形を死守する覚悟に見える。
- 自動車メーカーを震撼させる環境規制の激変
「最近のクルマは燃費ばかり気にしてつまらなくなった」と嘆いても仕方ない。自動車メーカーが燃費を気にするのは、売れる売れないという目先のカネ勘定ではなくて、燃費基準に達しないと罰金で制裁されるからだ。昨今の環境規制状況と、それが転換点にあることを解説する。各メーカーはそのための戦略を練ってきたが、ここにきて4つの番狂わせがあった。
- アイサイト 分かりにくい誠実と分かりやすい不誠実
スバルがレヴォーグに「アイサイト・ツーリングアシスト」を搭載。都内で行われた試乗会でこのツーリングアシストをテストした筆者はとても混乱した。それは……。
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