クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

変革への第一歩を踏み出したスバル池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/7 ページ)

» 2020年01月27日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

次の時代のスバルらしさ

 さて、その新広報戦略の中で、スバルは何を説明したのか? まず核心的なポイントを述べよう。今回の発表の中でスバルが「次の時代のスバルらしさ」と定義したのは、従来通りの「安心と愉しさ」で、その意味において従来の主張とブレはない。従来と違うのは、その「安心と愉しさ」とは何なのかについて、総花的にあれもこれもありますではなく、もっと具体的言及があったことだ。

スバルの中村知美CEO

 まずは「安心」だ。スバルのいう安心とは「事故ゼロ」へ向けた取り組みであり、「人間を中心」思想によって、人命を守ることだ。

 それは「認知・判断・操作」のうち、「認知・判断」を的確に行えるクルマづくりによって、事故機会そのものを遠ざける0次安全性能、「操作」が的確にできるクルマづくりによって動的に事故を回避する1次安全性能、そして万が一の事故の際、被害を軽減する2次安全性能の3つに分かれる。

死亡交通事故実態。スバルは米国と日本で低い死亡交通事故率を実現してきた(SUBARU技術ミーティング資料より)

 これを実現するための具体的な次世代ハードウェアは、ドライバーを見守るドライバー・モニタリング・システム(DMS)と、スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)である。加えていえば、4次にあたるものとしてスバル・スターリンクを使った事故自動通報システムがある。救命開始が10分早まると、死亡率が約7割改善するといわれており、安全への貢献は大きい。

ドライバー・モニタリング・システム(DMS)を衝突軽減ブレーキのアイサイトと連携させ、安全性を高める(SUBARU技術ミーティング資料より)
事故の際に早期救命を実現するための、事故自動通報機能の概要(SUBARU技術ミーティング資料より)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.