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元国税専門官が明かす確定申告の極意 「『領収書』と『レシート』もらうべきはどっち?」元国税専門官が教える『確定申告、得なのはどっち?』(1)(2/3 ページ)

» 2020年02月22日 04時00分 公開
[小林義崇ITmedia]
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税務職員は筆跡も調べる

 ここまでの前提を踏まえて、レシートと領収書を比べてみましょう。すると、レシートのほうが、情報量が多いことが分かるはずです。昔は商品名などが明らかでないレシートもありましたが、今はかなりの情報がレシートに記載されています。支払った日はもちろん、その商品名や、支払金額、お釣り、ポイントの有無、クレジット払いなのか現金払いなのかなど、およそ取引に関する情報は網羅されています。

 それに対し、手書きの領収書にはそこまで細かな情報が書かれてはいません。とくに宛名が「上様」、品目が「商品代」などと書かれた領収書は、実質的な情報は皆無です。どのお店で、いつ、いくら支払われたのかは分かっても、その内訳が不明瞭であれば必要経費と証明することは難しいでしょう。

 こうして比較し、国税局や税務署の職員の立場になって考えると、レシートよりも領収書のほうが疑わしいと感じられるのではないでしょうか。それに、手書きの領収書は簡単に改ざんすることができます。例えば、プライベートな支払いと、事業用の支払いを一緒くたにして領収書を作ってもらうことや、金額自体を書き換えることさえ考えられます。

 一方、レシートの偽造はかなり難しいでしょう。先ほどお話した通り、今のレシートには相当な情報が詰まっていますから、そっくり偽造することはほとんど不可能です。そのため、税務職員の目にも信ぴょう性が高くうつります。こういった意味から、私は領収書よりも、レシートを必要経費の証拠書類として保管しておくことをお勧めします。

 私は税務職員時代に数え切れないほど税務調査を行ないましたが、時には納税者から提示された領収書の筆跡を調べることもありました。ほかの書面などと付き合わせて、本人や家族が書いたものという疑いを持てば、当事者やその領収書を発行したとされる企業などを追求することになります。

photo レシートには支払った日、商品名、支払い金額、お釣り、ポイントの有無、クレジット払いなのか現金払いなのかなど、取引に関する情報が網羅されている(写真提供:ゲッティイメージズ)

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