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「人材派遣」は“不遇な働き方”は本当か? データと資料が解き明かす、知られざる実態と課題連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(2/7 ページ)

» 2020年04月01日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

データから見る派遣の「真実」

 まず派遣社員の数ですが、先に挙げた19年の労働力調査では141万人です。確かに多くの人が派遣社員として働いていますが、非正規と呼ばれる雇用形態2165万人に占める割合は6.5%に過ぎません。

非正規雇用のうち、「派遣」は6.5%(グラフは総務省統計局「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)」を基に筆者作成)

 つまり、非正規雇用で働く人のほとんどは、パートやアルバイトなど「派遣社員ではない人たち」なのです。派遣社員も年々増えてはいますが、「圧倒的多数」というほどの規模ではありません。

 また、派遣社員として働く事情は人それぞれです。

 先の労働力調査では、その雇用形態で働く理由も集計しています。19年データを見ると、派遣社員のうち、働く主な理由として回答が最も多いのは「正規の職員・従業員の仕事がないから」で30.8%。しかし、後の7割弱はそれ以外の理由です。

正規雇用の働き口がなく、派遣を選んだ人は全体の約3割(グラフは総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)」を基に筆者作成)

 詳しく見ると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(23.3%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(11.3%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.3%)、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」(7.5%)、「通勤時間が短いから」(4.5%)と続きます。少なくとも約半数の人は、さまざまな事情から「あえて」派遣という働き方を選んでいることが分かります。

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