2019年に波紋を呼んだ、就活サイトの内定辞退率予測問題。背景には、企業と求職者の間に立ちながら、自らの利益も追い求める民間業者ならではのジレンマが潜んでいます。人手不足で労働市場が活況を帯びる中、人材サービスの存在意義はどこにあり、何が課題なのか? という問いを新卒、転職、派遣の3つから分析します
「人材サービス」が有する“機能”にフォーカスしたとき、どんな存在意義があり、何が課題なのか。求職者側から見たニーズの違いから特徴的なキーワードを挙げて考察します。なお、考察にあたっては、多岐に及ぶ人材サービスの中でも民間事業者が提供する労働力需給調整機能に絞って取り上げ、カッコ書きで「人材サービス」と表記します。
【プロローグ】人材サービスが“社会の敵”にならないために 運営側、企業側、求職者全てが知っておくべき基本事項
【転職編】活況の“転職市場”を支える「人材サービス」 企業が知るべきことと事業者が心掛けるべきこと
【新卒編】新卒向けサービスが多様化してもなぜ、「3年以内離職率」はずっと3割なのか
今回、取り上げるキーワードは「人材派遣(働く側から見ると労働者派遣)」です。おそらく「人材サービス」の中で最も誤解が多く、また最も課題も多いサービスだと思います。
総務省が発表している労働力調査によると、2019年に非正規と呼ばれる雇用形態だった人の数は平均して「2165万人」でした。非正規のデータを巡っては、「度重なる規制緩和によって派遣社員が増えたので非正規雇用も増えた」と指摘する声があります。また、「派遣社員は正社員になれない人が致し方なく選ぶ不遇な働き方だ」というイメージも定着しています。さらに、15年に労働者派遣法の改正が行われた際には、「規制緩和によって正社員はゼロになり、働く人は派遣社員ばかりになる」といわれました。
しかし、これらは全て誤った情報です。
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