――業界や地域、取引関係といった企業コミュニティーの中で、通勤の習慣や必要性がまだ維持されてしまっている、ということですね。対応策はあるのでしょうか?
小林: 今まさに求められているのは企業間の足の引っ張り合い、いわば「足かせ」を無くしていくことだ。
具体的に求められるのは、業界団体や大企業といったリーダーシップを取れるところが、納期の緩和や遠隔取引の推進などを推奨する、といった動きだろう。率先して自社以外にも踏み込んだ呼びかけを行える、強い立場の企業が出てきてほしい。非常事態だからこそ、いろいろなしがらみを無くせるタイミングでもある。
マスコミからのコミュニケーションばかりでも反発が生まれ、メディアや行政への不信感をため込むことになる。次の動きとして、「業界トップの企業を動かす」といった戦略的なコミュニケーションを取らないといけない。そうでないと「(大企業が)自社だけできているが……」という状況では、出勤7割減という数字の達成は到底無理だろう。
――従業員個人としては在宅勤務したくても、会社や上司が理解を示さないケースも非常に多そうです。
小林: 緊急事態宣言自体の強制力は実は強くない。政府が「みんなやってくださいね」と言っても、テレワークは1人ではできない。要は上司が「ダメ」と言ったら駄目な訳で、会社の方針に反対してまでテレワークする人はいない。そして企業間の相互作用によってそういった「できない」状況が生まれてしまっているのではないか。
「上司が、会社が、クライアントが……」などと、日本のサラリーマンはテレワークに関していろいろな足かせを背負っている。今求められているのは、その足かせを解くことだ。
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