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“市場規模1000億円”の「青汁事業」から「ケール事業」へ転換 キューサイ社長に聞く「ブランドイメージの変え方」(1/3 ページ)

» 2020年05月12日 10時00分 公開
[中西享ITmedia]

 「青汁」の商品イメージが強い「キューサイ」(福岡市)が、ブランドイメージを変えようとしている。「キューサイ=青汁」という長年にわたり消費者に浸透したイメージを変えるのは容易ではない一方、変えなければ同社の事業は先細りになりかねない。青汁の原料である食物素材ケールの持っているパワーを生かして新たな販売戦略を打ち出したいという神戸聡社長にその胸の内を聞いた。

photo 神戸聡(かんべ・さとし)1992年広告会社に入社、2002年化粧品会社に入社、14年同社営業担当取締役、15年キューサイに入社、通販統括部長、17年2月から社長。50歳、愛知県出身

青汁の市場規模は1000億円

――「キューサイ」と言えば青汁というイメージがいまだに強いようだが。

 いま渋谷の街で「キューサイ」と聞いて何を連想するかと聞くと「知らない」と答えるか、「青汁」だろう。2019年に実施した「キューサイ」の商品を聞いて何を思い浮かべるかという健康食品のブランドイメージに関する調査では、実に72%が青汁と答えている。「キューサイ」が青汁だけの会社というイメージから早く脱却する必要があると痛感した。

――日本における青汁の市場の大きさと、「キューサイ」の中で占める割合はどの程度か。青汁に代わる主力商品は何か。

 青汁の市場規模は年間約1000億円で、「ケール100%の青汁」では当社が首位だ。一方で、青汁市場全体でのわが社の順位はそれほど上位ではない。

 19年の自社グループ全体の売上高249億円のうち青汁は1割ほどだ。最も大きな売上シェアを占めているのが2004年に発売したヘルスケア商品の「ヒアルロン酸コラーゲン」(現在のひざサポートコラーゲン)と、基礎化粧品の美容ジェルクリーム「コラリッチ」だ。18年の実績でみると、青汁とコラーゲンを含めたヘルスケア商品が売上の51.6%を占め、コラリッチなどスキンケア商品が45.4%だ。

 青汁の売上比率が低いだけに、「次の戦略を考えなければならない」と思って手を打っている最中だ。

――「キューサイの青汁」の特徴は何か。

 わが社の青汁の主成分はケールと呼ばれる食物素材だ。自社グループで、農薬不使用で栽培しているケールを主に原料にしている。青汁は一般的に野菜不足やお通じに良いといった効能が指摘されている。ケールが主成分の青汁はカラダの免疫機能を活性化する効果があるといわれていて、青汁だけの製品にとどめておくのはもったいないと考えた。

――ブランドイメージを変えるため、19年に会社のロゴを変えた。狙いは?

 昨年10月に創業55年目を迎えたのを機に、青汁だけの会社ではないという意味を込めてロゴを「生きるを、しなやかに」に変更した。

photo ケールを使ったキューサイの青汁
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