新型コロナウイルスを受け、私たちの生活や働き方が変わりつつある。外出自粛を機にテレワークの便利さや、自宅での過ごし方について考えるようになった人も少なくないのではないだろうか。
では、コロナの終息後もこうした価値観の変化は定着するのか。特に住まいや暮らしにまつわる消費者調査を長く手掛けてきた、麗澤大学客員准教授で大東建託・賃貸未来研究所所長の宗健氏に聞いた。
――「アフターコロナ」の暮らしの価値観変化を占う上でまず大きな取っ掛かりになりそうなのが、職場のテレワーク化です。「職場に行かなくとも仕事は回る」と感じた人もいた一方で、外出自粛が終われば企業は全て元に戻す、という見方もあります。
宗: テレワーク化の流れ自体は戻らないと思う。大企業の多くが強制的に移行し、(それまで)使ったことも無かったZoomにもみんな慣れた。「テレワークでかなりのことができる」と、その良さにみんなが気付いてしまったと言える。
今後は、企業では(社員が)テレワークできることが当たり前になり、企業も優秀な人材をテレワーク前提で採用するようになるだろう。逆に、無理に元に戻そうとする会社からは人材が流出するのではないか。
――加えてテレワーク化などの働き方だけでなく、人間関係や暮らし全般の価値観がコロナを機に劇的に変わる、という議論もメディアには頻出していますね。
宗: 2011年の東日本大震災の時も、同じような言説があった。未曾有の人的被害や原発事故から、「社会の考え方や価値観が変わる」「これからはキズナを中心とした人間関係が重要になるのでは」といったものだ。
ただ、そうした「変わる感」は一瞬のもの。数年たつと無くなり、基本的には元に戻るだろう。価値観なんてものはそんなに劇的に変わらない。普通の人は忘れてしまうからだ。
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