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» 2020年05月22日 05時00分 公開

アフターコロナ 仕事はこう変わる:“コロナ後”に焼き肉店が過去最高の売り上げ 中国で奮闘した日本人社長、汗と涙の全記録 (2/7)

[三ツ井創太郎,ITmedia]

全店舗の売り上げが激減して倒産を覚悟する

 19年12月31日、中国政府はWHO(世界保健機関)に対して武漢市で原因不明の肺炎の集団感染が発生したことを初めて報告しました。その後、1月30日にWHOは新型コロナウイルスが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言します。

 2月に入ってから、中国国内の飲食店は店内営業が停止となりました。営業停止に対する中国政府からの補助は日本円で1社約45万円。日本でもよく議論される「家賃補助」に関しては、国営の物件に入居しているテナントに対して2月の1カ月間は家賃免除、3月は半額免除といった支援策が打ち出されましたが、福庭社長の店舗は国営物件に入居していなかったため、こうした家賃補助は一切受けられませんでした。

 負担の大きい9店舗分の「空家賃」を少しでも抑えるため、通訳ができる現地スタッフと一緒に社長自ら大家さんに頭を下げて家賃交渉を行いました。しかし、ほぼ全ての大家さんから門前払いされてしまいました。「家賃が支払えないなら今すぐに立ちのけ!」と怒鳴られることも多々ありました。ちなみに、中国の店舗契約においては、毎回更新時に賃料が10〜20%上がるのが当り前といった物件が多く、契約上も大家さんの立場が強いという特徴があります。

コロナ禍に襲われる前の店内

 売り上げはゼロ、家賃交渉も不可能という中、さらスタッフへの給与の支払いが重くのしかかります。中国では休業させているスタッフに対しても、最低賃金の80%を支給することが国の要件として定められています。

 日本では新型コロナウイルス対策の融資支援等がありますが、福庭社長の会社は日本人が経営する「外資企業」なので、融資等による資金調達も難しく、本当に倒産間近まで追い詰められていきました。

 当時の心境を福庭社長は次のように語りました。

 「営業停止となった2月初めは、もう倒産以外の道はないと考え、相当落ち込んでいました。感染状況や営業規制等についても、毎日のように状況がコロコロ変わる状態でしたので、政府から発表される情報を日本語が分かる現地スタッフに翻訳してもらった上で意思決定をしていくという、本当に神経が磨り減るような毎日を送っていました」

 営業停止となった約1カ月間はテークアウトのみの営業をしていましたが、当然ながら通常営業の売り上げから考えると「焼石に水」の状態でした。

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