いよいよオープン日、当時は以前の常連の方々を中心にパラパラとお客さまが来店して下さりました。福庭社長は「お客さま自身も長い自粛期間が空けて、ようやく外食ができるという喜びで笑顔があふれていました。そのお客さまの笑顔を見た時に、改めて“飲食業”という自分たちの仕事に対する意義や誇りを強く感じました。そんなことを思いながら営業していると、なぜか自然と涙があふれてきました」と振り返ります。
その思いは他のスタッフも一緒でした、新型コロナウイルス発生前は当り前に“こなす”部分があった毎日の仕事。皆、営業再開でその仕事の大切さや、やりがいを実感していました。こうしたスタッフ一人一人の思いが重なり、お店の中に“今までにはないような活気”が生まれていったそうです。
福庭社長自身も、お客さまがお帰りの際にはお店の外に出て一人一人にあいさつをして、感謝の気持ちを伝え続けました。
ただ消費者の中に自粛ムードが残っていることもあり、3月の売り上げは前年同月比で40%程度でした。
40%程度の売り上げでは経営を続けられません。さらにさまざまなコスト改善を行ったとはいえ、全店の家賃等の支払いは迫っており、資金繰りは変わらず悪化している状況でした。
営業再開を喜んでいるのもつかの間、今後の営業継続に不安を残す結果となりました。そして手探りの中で営業を再開してから1カ月が経過し、4月に突入します。
営業再開から1カ月半が経過した4月の2週目くらいから流れが徐々に変わります。3月と比べて明らかに来店するお客さまの数が増えてきました。不思議に思った福庭社長は来店されたお客さまに聞いてみました。すると多くのお客さまがWeChatで営業再開を知ったことが分かりました。実際にWeChatを確認すると、3月に来店された多くのお客さまが店内の様子、福庭社長やスタッフが一所懸命に接客している様子、さらにお店が行っている新型コロナウイルス対策等を投稿してくれていたことが分かりました。この投稿がどんどん拡散し、その投稿を見た常連客や、新規のお客さまが来店されるようになりました。
お客さまの数は日に日に増え、ついにオープンしてからの最高の売り上げを更新する日もありました。
4月の営業を終えて、お店の売り上げを集計すると前年同月比で80%まで回復していました。5月に至っては5月15日時点で、同90%以上で推移しています。
今回の取材を通じて、福庭社長の行った取り組みを私なりに分かりやすくまとめてみました。
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