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IT業界の「多重下請け地獄」が横行し続ける真の理由「IT後進国ニッポン」の病巣に迫る【前編】(1/4 ページ)

» 2020年05月28日 18時13分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

 新型コロナウイルスの感染拡大や、政府による緊急事態宣言などの影響を受けて、多くの企業が中途採用の求人を減らし始めている。IT業界でも今後エンジニアの中途採用の規模縮小が心配される。業界で常態化している多重下請け構造のもとで、業務委託や派遣社員のエンジニアの人数を減らす企業が増えていくことも十分考えられる。

 業界の多重下請け構造にはさまざまな問題があるとして、構造改革に取り組んでいるのが、東京都渋谷区に本社がある情報戦略テクノロジーだ。企業の事業部門と直接ビジネスをする「0次請け」と、エンジニアのスキルシートの統一化を進めている。

 同社の高井淳社長は、IT業界の1次請けから3次請けまでのビジネスを経験。「構造改革をしなければ日本のソフトウェア開発の技術向上も、エンジニアの育成もできない」と訴える。日本のIT業界の課題と、高井社長が取り組む改革についてのインタビューを前後編の2回にわたってお伝えする。

 前編では高井社長にソフトウェア業界やシステム開発の問題点について聞いた。

phot 高井淳(たかい・じゅん)株式会社情報戦略テクノロジー代表取締役。1975年6月12日生まれ。法政大学卒。上場企業での勤務、起業、システム開発会社を経て、2009年に情報戦略テクノロジーを立ち上げる。

日本のソフトウェア開発が米中に劣る理由

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