リモートワーク期間中、「コミュニケーションが不足して社員のメンタルが弱ってしまうのではないか不安です」というご相談をいただくことが増えました。私はメンタルヘルスの専門家ではありませんが、社員教育の分野で28年間働いてきましたので、数多くの組織人を見てきました。
人はどういうときに病むのか、どういうときに元気を取り戻すのか。教育者としての視点からのお話をさせていただきます。
小学校教員を経て、一般企業の営業職として入社。営業未経験ながら、礼儀礼節を徹底した営業スタイルを確立し、3年で売上NO1、トップセールス賞を受賞。
04年株式会社新規開拓を設立。現在までに延べ17万人の社員研修・人材教育に携わる。女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、TSL「トップセールスレディ育成塾」を主宰。卒業生は2500名を超える。
著書は全39冊、累計売上部数は約48万部。『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)、『すごい仕事力』(致知出版社)など。
人が病む最大の原因は孤独だと私は考えています。これは物理的な人との距離ではなく、心の距離、悩みを吐露できる場所があるかどうか、です。誰にも言えない、誰にも相談できないことがあり、自分の中で膨らんでしまうと心の闇が大きくなってしまいます。
特に自分の中で悶々と悩んでしまう人の特徴が、大きく分けて2つあります。まだ起こってもいないことを心配してしまうことと、過去のことに対して「何であんなことをしてしまったのだろう」と自分を責めてしまうことです。
コロナ禍という未曾有の事態の中で、多くの人が不安を抱えています。現状では雇用が継続されていて、給料もきちんと支払われていたとしても「いつクビになるか分からない」と恐怖心を抱いている人は少なくないでしょう。
人に相談しようにも、実際にはまだクビになったわけでも、これからクビを宣告されることが確定したわけでもないので、周囲の人はあまり真剣には受け取ってくれません。そうこうしているうちにどんどん自分の中で不安が膨らんでいって、その不安に押しつぶされる人も出てきます。
リモートワークになると必然的に文章でのコミュニケーションが主となりますが、言葉の抑揚や相手の表情が見えない状態だと、相手の感情がよく見えず、普通の言葉なのに「怒っているんじゃないだろうか」と心配になってしまうこともあります。
特に今春入社の新入社員の方々は、ただでさえ「これまでとは全く違う環境に足を踏み入れるぞ」というタイミングです。これから先どうなるかが全く見えておらず不安に感じている人も多いでしょう。自宅待機だからと、ほったらかしにしておくのは非常に危険です。誰に悩みを相談して良いのか分からない状況が長く続くと、気持ちが落ち込んでしまいます。
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