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テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た働き方の「今」を知る(5/5 ページ)

» 2020年07月07日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]
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その会議、本当に必要?

 オンライン会議がうまく機能していない場合「既存の会議をそのままのスケジュールで単にオンライン化しただけ」というケースが多い。しかし、なんでもかんでもオンラインに移行する前に、一歩踏み止まって「そもそもその会議は必要なのか?」と考えるステップが必要だろう。

 例えば、「情報共有のための会議」はそもそも不要なはずだ。情報共有だけならメール配布で十分。会議資料は事前に参加者に共有し、各自内容確認のうえで自身の意見を持って集まり、会議中は「決める」ことに集中すればよい。

 その上で、会議の際には時間制限を厳密に行うことも求められる。会議というと「取りあえず」で1時間を設定することも多いが、そもそものところに立ち返れば、15分単位で済むものもあるはずだ。さらに議題ごとに時間を区切って、「誰が」「いつまでに」「何をやるか」を明確に決定し、報告責任も定めた上で終了するのが会議。こうした本質的な前提が、テレワーク以前にないがしろにされていただけの話なのだ。

ツケを払うときが来た

 このように、本質的な課題に向き合わないまま、さまざまなツールだけを導入してテレワークを始めた企業が多いにもかかわず、「テレワークで生まれた課題」のように語られているものが多いことに違和感がある。

 真に業務効率化を目指すのであれば、既存業務のタスクを全て洗い出し、業務遂行においてボトルネックになっている要素を発見し、改善・解決しなければならない。今回のコロナ禍で明らかになったのは、テレワークの課題というよりも、これまでいかに日本企業が現状維持にあぐらをかいていたのか、ということではないのか。例えば、「自動化できる業務を手作業でおこなっている」とか「非効率なマニュアルが見直されないまま継承されている」「低コストで機会化/効率化できるサービスがあるのに、社内の誰もその存在を知らない」……といったようなことだ。

 今般のテレワークで大変な思いをした会社は、それを「単なる災難」とみて旧来のやり方に戻ってしまうのか、もしくは「働き方や仕事の進め方の本質と向き合う好機」と捉え、改善を進めていくのか。幸い、テクノロジーは既にそろっている。テレワークで突き付けられたこれまでのツケを前に、経営者の覚悟が問われている。

これまでのツケを払うときが来ている(出所:ゲッティイメージズ)

著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。


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