マーケティング・シンカ論

SNS活用から紐解く、コロナ時代の企業コミュニケーション企業SNS「中の人」がいま考えるべきこと(2/6 ページ)

» 2020年07月15日 05時00分 公開
[天野彬ITmedia]
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多くの人はコロナ禍における企業SNSの活動を肯定的に受け止めている

 このように新型コロナの影響でTwitterを中心としたSNSの利用時間が増えたことで、「企業公式アカウントの投稿」をより目にするようになったという回答率は27%(同率2位)。そして、「コロナウイルス拡大以降、『SNS上での企業活動』に関して、あなたの行動に当てはまるもの」を聞いたところ、「対企業への行動に特に変化はない」の57%が主流ですが、「企業公式アカウントのキャンペーンに参加した」が20%、「企業公式アカウントの投稿にいいね!やリツイートをした」が19%、「企業公式アカウントを新たにフォローやいいね!した」は17%など、積極的にアクションを取った人も少なくないことが分かります。もちろん、「フォローやいいね!を外した」は3%、「非表示にした」が1%など否定的なアクションを取った層も一定数存在するようです。

企業アカウントに対し、積極的なアクションを取った人も少なくないようだ(出所:アライドアーキテクツ「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」)

 「SNS上での企業のプロモーション活動」については、「企業がプロモーション活動をしていてもいいと思う(不快感はない)」が40%、「経済を回すためにも、企業のプロモーション活動をどんどんすべきだと思う(好意的に思う)」が33%、「企業はこれまでとプロモーション活動の方針を変更する必要はないと思う」が21%。9割以上が肯定的なスタンスとなっています。

 では企業そのもののイメージはどう変わるのでしょうか。「コロナウイルス拡大以降、特定の企業に対する見方にどういった変化があったか」を聞くと、「企業のサービス提供方針に共感した」が60%、「企業の社会への貢献姿勢に共感した」が54%、「企業からのメッセージに共感した」が44%など総じて肯定的な声が多いことに気付きます。

 ただし「企業のサービス提供方針に反発/不快感を持った」が20%、「企業からのメッセージに反発/不快感を持った」が16%と、否定的な回答があったことも重要でしょう。理由としては、「便乗商法と捉えられる販売」「外出自粛に関係なく、旅行や店内での飲食を促すダイレクトメールやクーポンなどを何度も送ってくる」「営業停止や時間短縮の旨をホームページや店頭などにきちんと表示していない」「パート社員や派遣社員に対する対策は後回しにしている」が挙げられていて、非公共的なふるまいや情報開示のいいかげんさが不快感につながったと考えることができます。

SNSを使った企業プロモーションには、肯定的な意見が多かった(出所:アライドアーキテクツ「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」)

 新型コロナ禍において、企業がSNSを通じて情報発信することはおおむね好意的に捉えられていることが分かりました(確かに、このタイミングで「何もしない」というのは、SNSを「世の中にファストに反応していくことが求められる場」として考えると、あまり適切でないようにも思います)。

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