こうしたハラスメントに対して、人事部としてはどういう対応をとっていけばよいのだろうか。
各部署にWeb会議などの方針を任せるのではなく、全社的に運用ルールを設定するのは一つの手だ。例えば、全社でWeb会議用にバーチャル背景用の画像を提供すれば、背景に部屋が映ってしまうことも防げる。また、1対1であってもWeb会議には録画を義務付けたりすることで、不用意な言動に対するけん制にもなるだろう。
その他、業務フローや評価制度を明確化することも重要だ。これまでであれば、成果主義とはいいつつもやはり評価の基本は労働時間や「一生懸命さ」であった企業も多かっただろう。しかし、テレワークによって、労働時間を正確に測ることは難しくなったし、どんな姿で仕事に打ち込んでいるかも見えづらくなった。しっかりと出すべき成果と評価を人事部主導で設計することで、マネジャー層の焦りもなくなり、監視する必要もなくなるだろう。
最後に、マネジャー層にハラスメント研修を受けさせる企業も多いが、それだけでは不十分だと倉本氏は指摘する。「パワハラ防止法が施行されたが、パワハラの定義を巡ってもさまざまな議論が出ている。大事なのは、企業としてどういうスタンスかを明確にすること」(倉本氏)。特に、トップの意思は従業員に伝播(でんぱ)するため、しっかりと「ハラスメントは経営において大きなリスク」だと経営層に意識付けさせることが人事部に求められる。
パワハラという言葉が注目されたため、業務上必要な指示や叱責を軽率にパワハラ視するケースもあるという。マネジャー層だけでなく、経営層や役職についていない層にも、人事部主導でハラスメントに関する理解を浸透させていく必要があるだろう。
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