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» 2020年08月17日 07時00分 公開

人材教育のプロが語る:東京の一等地にしか興味がなかった私が、ワーケーションを始める理由 (1/2)

2020年6月、南紀白浜にワーケーション用の物件を構えることを決めた筆者。それまで「身の丈に合わない」といわれても「一流のオフィス」に投資してきたのに、なぜ、方向転換したのか。

[朝倉千恵子,ITmedia]

 「これからオフィスの価値は変わっていくと思いますか?」と問われたら、私は間違いなく「はい! 大きく変わります!」と答えます。「どこでも、いつでも働ける」のであれば、それはオフィスでなくたって構わないはずです。

 2020年6月、私は南紀白浜にワーケーション用の物件を構えることを決めました。もともと家族で所有していた物件を、仕事もできる空間としてフルリノベーションすることにしたのです。すでに工事も始まりました。

photo 写真はイメージです

 このように書くと、もともと働く場所にこだわらず、時間が自由に使える人のように感じられるかもしれません。しかしほんの4カ月前まで、私の頭にはワーケーションという考えは微塵もありませんでした。むしろ「どこで働くか」に関しては、他の人よりも非常にこだわっていました。

 そんな私がなぜ、一気に方向転換することになったのか。これからのワークライフバランスはどうなるのか。実体験を交えながらお伝えしたいと思います。

筆者:朝倉千恵子(株式会社新規開拓 代表取締役社長) 

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 小学校教員を経て、一般企業の営業職として入社。営業未経験ながら、礼儀礼節を徹底した営業スタイルを確立し、3年で売上NO1、トップセールス賞を受賞。

 04年株式会社新規開拓を設立。現在までに延べ17万人の社員研修・人材教育に携わる。女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、TSL「トップセールスレディ育成塾」を主宰。卒業生は2500名を超える。

 著書は全39冊、累計売上部数は約48万部。『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)、『すごい仕事力』(致知出版社)など。


「身の丈に合わない」といわれても、17年間「一流のオフィス」に投資してきた

 私はもともと、オフィスの立地にものすごくこだわってきました。当社、新規開拓のオフィスは丸の内ビルディング(丸ビル)にあります。「天下の丸ビル」といわれる建物ですから、周囲は誰もが名前を知っているような超有名企業ばかりです。家賃も当社のような一中小企業にとっては、ものすごく高額です。

 しかし丸ビルという建物のブランド力、東京駅直結というアクセスの良さ、そして「丸の内のあの場所で働く」という社員のモチベーションアップとステータスを考えれば、むしろお得だと考えていました。

 私のオフィスに対するこだわりは、今に始まったことではありません。丸ビルの前は、帝国ホテルタワーにある英国のレンタルオフィス「リージャス」を借りていました。帝国ホテルタワーに移転したのは、2003年2月1日。創業間もない頃です。借金もありましたし、なんとそのオフィスの家賃は当時の私の収入よりも何倍も高かったのです。家賃は収入の3分の1以内に抑えるというのが定説ですが、家賃だけで大赤字の状態です。もちろん周囲は大反対でした。

 帝国ホテルタワーのオフィスは、オフィスそのものが素晴らしかったこともありますが、住所が「内幸町1−1−1」でした。これから「ナンバーワン!」を目指そうという私たちにとって、これ以上ない場所でした。清水の舞台から飛び降りる覚悟で、契約書にサインをしました。

 帝国ホテルタワーも、丸ビルも、アクセスが良いことや、設備が整っていることもありますが、それ以上に、場所そのものにブランドがあります。社員が胸を張って「ここで仕事をしている」と思えること、そしてお客さまがいらっしゃったときも「こんな素晴らしいところにオフィスを構えている会社だ」と思っていただけるということに、大きな付加価値があるのです。そして何よりも信用力を買ったのです。

意識の転換 「家でも、旅先でも、どこででも働ける」

 それくらいオフィスにこだわりを持っていた私ですが、今は打って変わって「家であっても、旅先であっても、どこであっても働ける」と言っています。20年3月からテレワークとなり、今は週に1回も出社していません。社員は「社長、つい最近まであんなにオフィスの重要性を語っていたじゃないですか!」と驚いていると思います。

 なぜ、こんな意識の転換が起きたのかというと、新型コロナウイルスの影響です。自社内でのテレワークに加え、お客さま、取引先の企業も一斉にテレワークとなりました。お互いに「今直接会って面談するわけにはいかない」という認識が一致していたことが、働き方の価値観を大きく変えた一因だと考えています。

 自社だけがテレワークに移行しても、営業の場面では「直接会って話したい」といわれると応じなければいけないことも少なくないでしょう。そうすると結局、出社したり、お客さま先に出向いたりする必要があり、少なくとも身動きが取れやすい場所に控えている必要があります。

 ところが新型コロナの影響でテレワークが推進され、自社以外の方々の意識も変わりました。お互いに家にいながらつながる、ということを皆が認識したのです。

 当初は「リアルで会えないから仕方なく」導入したWeb会議も、実際に使ってみると意思疎通ができて、移動の時間も交通費もかからないわけですから、「オンラインのほうが良い」という考え方に変わってきました。

 オンラインでつながることさえできれば、面談相手が自宅にいても、旅先にいても、オフィスにいても、それは「どうでもいいこと」になったのです。こうして、私たちは本当に「どこにいても働ける」ようになりました。

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ワーケーションという考え方

 今、私がリノベーションをしている物件はただの休暇用別荘ではなく、ワーケーションを前提としているため、仕事ができるスペースもしっかりと確保しています。オンラインセミナーも開催できるようにスタジオも併設しています。

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