石田: 小ロットでつくれるかどうかが大きいのではないでしょうか。ご指摘のとおり、現場からの声は、当社だけに届いているわけではありません。他社にもたくさん届いていると思うのですが、企業は利益を出さなければいけません。小ロットだと採算があわないので、つくりたいのにつくれないといったケースも多いのではないでしょうか。
土肥: 「10年分の発注をいただければ、おつくりできます」といった話ですね。
石田: もちろん、当社も例外ではありません。つくりたくても、つくれないモノもある。ただ、できるだけ同じ声を集めて、多くの会社が使える商品をつくる。そして、いくつかの会社に分納することができれば、ロットを大きくして販売することができる。現場の声をできるだけ反映するためにも、このような展開ができればなあと思っています。
土肥: とはいえ、「これは売れるだろう」と思ってつくったものの、「あれ、想定と違う」といったケースもあったのでは?
石田: 残念ながらあります。例えば、作業服。ホームセンターの棚には低価格の作業服がたくさん並んでいたので、「ウチもつくってみよう」となって商品化しました。全く売れなかったわけではないですが、ちょっとつくり過ぎてしまいまして、在庫をたくさん抱えることになりました。なぜ、想定と違ったのか。要因として2つあって、1つは価格。他社製品よりも価格が高いこともあって、なかなか手にとってもらえなかったのかもしれません。
もう1つはデザイン。現場にはさまざまな会社の人が集まってくるわけですが、同じデザインでカブることがあるんですよね。例えば、ホームセンターでA社はミズノの作業服を購入し、B社も同じモノを購入した。そうすると、現場でカブってしまいますよね。
土肥: そ、それは……気まずい空気が流れそう。
石田: 作業服を販売してみて、オリジナルが重要であることが分かってきました。もちろん、既製服はこれからも扱っていきますが、「ここの色を変えて」「ここに会社のロゴを入れて」といった感じで、その会社の人だけが着用する、いわばイージーオーダーの作業服も強化していかなければいけません。
考えてみると、スポーツ製品でも同じことをやっているんですよね。例えば、バスケットボールで相手チームと同じユニホームなんておかしいですよね。対戦していて、敵か味方かどっちか分からなくなるので、チームのオリジナルユニホームをつくる。そういったことをワーク事業でも展開していかなければいけません。
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