3年で売上2倍に! ミズノのワークビジネスが、伸びている理由水曜インタビュー劇場(現場公演)(2/6 ページ)

» 2020年08月26日 07時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

ワークシューズの開発は難航

土肥: 「ミズノ」といえば、「ザ・スポーツメーカー」なわけですが、ワーク事業も手掛けていたのですね。ちょっと調べたところ、実は1997年から始めているそうで。スポーツ用品の開発で培った技術や知見を活用し、企業のユニホームをつくっていて、これまで500社以上に納品しているとか。

 ただ、当初は小さく小さく展開していて、本格的に始めたのは2016年から。その年にワークシューズを発売し、3年後の19年には「ワークビジネス事業部」を立ち上げて、担当者も増員。売り上げはどうなっているのかというと、直近3年で2倍に。成長率は年々高まっていて、21年度には売上目標100億円を掲げていますよね。

 こうした数字を知って「勢いがあるなあ」と感じていたところ、ふとテレビを見ていると、大阪府の吉村洋文知事が記者会見のときに、ミズノのロゴがどーんと入ったポロシャツを着ていました。これもワークビジネスのひとつだと思うのですが、そもそもどういったきっかけで本格的にこの事業に参入することになったのでしょうか?

ミズノのワークシューズ「オールマイティLS 紐タイプ」(8140円税込)

石田: 本業であるスポーツビジネスはそれなりに順調に成長していましたが、少子高齢化を迎えることもあって、社内から「なにかしなければいけない」という話がありました。当社はホームセンターさんとも取引があって、売り場をみると、ワークシューズが並んでいる。スポーツメーカーが開発した靴も販売されていたので、「ウチもこの分野にチャレンジしてみてはどうだろうか」といった話になりました。

 スポーツシューズはつくっていたので、「ワークシューズも簡単にできるだろう」と思っていたんですよね。しかし、これは勘違いであることが分かってきました。スポーツシューズの場合、その競技に順応させなければいけません。短距離走用の靴であれば0.1秒でも速く走れるように機能性を高めていくわけですが、ワークシューズは違う。 足先のケガを防ぐために、先端に「先芯(さきしん)」という硬いパーツを入れなければいけません。これを入れるのが、ものすごく難しかったんですよね。

土肥: えっ、そうなのですか? 素人の意見ですが、靴の先っちょに鉄の塊のようなモノを入れれば“一丁上がり”だと思っていました。

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