クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

RAV4 PHVとHonda e予約打ち切り どうなるバッテリー供給池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/7 ページ)

» 2020年10月05日 07時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

現状を正しく理解したソリューション

 ということで、バッテリーの供給に構造的問題を抱える現状では、よりバッテリーの搭載量を少なくしつつ、いかに効率的に温室効果ガスの発生を抑えるかが求められている。真剣に環境のことを考えるのであれば、そうなるはずだ。

 「ゼロエミッションのEV以外は紛い物だからダメだ」と言うならば、高価なEVを買えない人たちはこれまで通り内燃機関オンリーのクルマに乗ることになる。それでは環境はちっとも改善しない。あるいはもっと急進的に「今すぐEV以外のクルマを禁止せよ」みたいな話になるかもしれない。もしそんなことになったら、世界中で人と物の流れが止まり、ロックダウン状態に陥るだろう。

 結局は、長期的にはバッテリー供給量の問題を解決し、低価格化を達成して、オールEVへの道を模索していくことになるだろうが、その過程では、時代時代に応じたベストエフォートとして、プラグインハイブリッドや、ハイブリッド、マイルドハイブリッド、クリーンディーゼル、低排出ガス内燃機関などを組み合わせつつ、トータルで温室効果ガスの排出が最小になるようにコントロールするより他はない。

 ちなみに現在の各方式に求められるバッテリー容量はおおむね以下のような形だ。

  • プレミアムEV(テスラなど) 80kWh
  • レギュラーEV(日産リーフなど) 40kWh
  • 低容量EV(Honda e など) 35kWh
  • プラグインハイブリッド(トヨタRAV4 PHV など) 20kWh
  • ハイブリッド(トヨタ・プリウスなど) 1kWh
  • マイルドハイブリッド(スズキ・ワゴンRなど) 0.04kWh
各方式に求められるバッテリー容量

 もちろん、これはあくまでもこんな感じという話であって、具体的な車種を定めると少しずつ違う。例えばハイブリッドは1kWhとしてあるが、プリウスは1.3kWhで、アクアやフィットは0.9kWhという具合になっている。

 全部がEVになれば確かにめでたい話で、走行中の排出ガスはゼロになるのだが、現実的に普及率がグローバルで2%かそこらのEVにはまだ遠い道のりだ。

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