そもそも長時間労働は「命を削る労働」です。私たちがヒトという霊長類の動物である以上、「日が暮れれば寝る」のは至極当たり前で、私たちの身体は「夜は寝るためにある」という前提でプログラムされています。
例えば、過労死が長時間労働による突然死であることは、国内外を含め多くの研究で確かめられていますが、睡眠不足がその危険度をより高めることが、九州大学の研究グループの調査で明らかになっているのです。
調査では「心筋梗塞の男性患者260人」と「健康な男性445人」の労働時間と睡眠時間を比較し、発症のリスクを検証。その結果、次のことが分かりました。
長時間働いても6時間以上寝れば1.4倍でとどまるリスクが、なんと5倍近くに跳ね上がってしまうのです。さらに、「長時間労働じゃないけど、睡眠不足」(週労働60時間未満・睡眠6時間未満)の場合、心筋梗塞のリスクは2.2倍でした。
睡眠不足の危険性は、厚生労働省も指摘しています。「睡眠時間が6時間未満では狭心症や心筋梗塞の有病率が上昇、5時間以下では脳・心臓疾患の発症率が上昇、4時間以下では冠動脈性心疾患による死亡率が、睡眠時間7時間以上8時間未満の人の約2倍になるという報告がある」(平成16年度版「厚生労働白書」)
睡眠不足自体が心臓や脳の負担になる。それに長時間労働が加わることで、さらに負担が大きくなり、精神的にも疲弊し、うつ病などのリスクも高まっていく。
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