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テレワーク下でこそ威力、「顧客と会わない営業」の極意とは?「コンタクトレス・アプローチ」に迫る(2/4 ページ)

» 2020年10月11日 10時00分 公開
[長尾一洋ITmedia]

リアル商談よりコスパはどれだけ上がる?

 当社は品川駅の港南口に直結するビルに本社を構えています。本社勤務の営業担当者が、例えば山手線の隣の駅である大崎駅の企業を訪ねる場合、電車を使うと、どれくらいの移動時間がかかるでしょうか。

photo 顧客と「会わないこと」で逆に成果を挙げるコンタクトレス・アプローチについて迫った『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(著・長尾一洋、KADOKAWA)

 JR東日本大崎駅と品川駅間は、乗車時間3分と表示されています。しかし、ビルにあるオフィスからエレベーターでエントランス階に降りて、そこから直結とはいえ通路を歩いて品川駅に向かい、改札を通って山手線のホームに降りるまでには、10分程度かかります。

 山手線は本数が多いとはいえ、1〜2分は待つこともあります。そして乗車時間が3分。大崎駅のホームに着いてから訪問先までも、やはり10分程度は見ておきたい。約束時間の5分前に到着すると考えると、片道の移動時間に合計30分を費やすことになります。

 1件あたりの商談時間は、おおよそ60分程度。まっすぐオフィスに戻るとしたら、再び30分の移動時間が必要です。

 つまり、60分の商談のために、たった1駅でも往復の移動時間が60分。合計で120分(2時間)かかるという計算になります。逆に言うと、移動さえなかったら60分という時間をもっと別の活動、つまり他の企業へのアプローチにあてられるということです。

 さらに言うと、移動には往復の電車賃も必要です。JRで1駅ならせいぜい往復300円程度ですが、遠い顧客の場合は交通費もより高額になります。出張対応で宿泊も伴うとなれば、商談のためだけに多大な時間とコストがかかります。

 地域や業種によっては移動手段として営業車を使用している会社も多いと思いますので、そのコストについても考えておきましょう。

 営業車を、残価を差し引いて総費用200万円で購入したとして、5年間使うと想定した場合の1カ月あたりの費用は約3万3333円。その他、ガソリン代、車両保険料、車検費用、駐車場利用料、高速料金や、メンテナンス費用が発生します。合計すれば1カ月に1台あたり10万円程度の支出になっていてもおかしくはありません。

 コンタクトレス・アプローチでは、アプローチ数を増やすとともに、このような移動のための「時間」や「経費」をバッサリと削減することもできるのです。

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