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「広場=にぎわい」は古い? 神田のオフィスビルで生まれた新しい空間の仕掛けアフターコロナ 仕事はこう変わる(3/4 ページ)

» 2020年10月19日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「何を作ったらいいのか分からない」という企業が増加

 日建設計のNADは7年前に発足した。2010年代に入り、顧客から「“働く場”は必要だが、何を作ったらいいのか分からない」と相談されることが増えたことが、そのきっかけだったという。

 NADのダイレクターを務める勝矢武之氏は「言われた通りにオフィスをつくればいい時代ではなくなった。お客さまの要求を捉えて、それを形にしてから設計する体制が必要になっていた」と説明する。それができるチームとして、組織の枠組みや担当領域を横断してデザインを提案することが役割だ。

 その一つの事例が、先に挙げた神田スクエアのパブリックスペースだ。「どんな広場にするか」を事業主と共に突き詰めると、約5000人のオフィスワーカーの働き方はもちろん、もともと形成されていた地域文化に新しいビルが溶け込むことも重視したいという意向があった。

ビル内から見たパブリックスペース。ビルと地域をつなぐ役割を持たせた

 他にもさまざまな企業のオフィスなどを設計している。「社員のエンゲージメントを高めたい」「人が自然に集まり、知的生産性が高まる場にしたい」など、企業ごとのビジョンを探り出し、具体的なデザインに落とし込んでいく。また、それらは完成して終わりではない。完成後も現地に出向き、そこで人が動く状況を分析した上で、改善提案などを続けるという。

 そんなNADに今、多く寄せられているのが、「アフターコロナのオフィス」に関する相談だ。テレワークなどを本格導入する企業が増え、「本社ビルをどうすればいいのか」と悩む企業が多いという。

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