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「初任給1000万円」高額報酬のみでは、デジタル人材は獲得できない どうする?連載・デジタル時代の人材マネジメント(2/2 ページ)

» 2020年11月04日 07時00分 公開
[内藤琢磨ITmedia]
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 これらの結果は、企業の上位概念やマネジメントスタイルをどのように社内のデジタル人材に対して打ち出していくかが、人材マネジメント上重要な課題となることを示唆している。評価や処遇ならまだしもこうした課題に関して自社としてどうすべきかを、人事部門のみに委ね、任せておくのは不適切である。この問題は経営として取り組むべき課題といえる。

 本調査では、同じデジタル人材についても組織内のポジション・階層によるワークモチベーションに違いがないかについても考察している。

 その結果、デジタル人材の中でも、経営層や事業責任者クラスにあたる上位階層はさらに経営理念、ビジョンなどや組織風土・マネジメントスタイルなどを重視する傾向が強いことが分かった。

 この結果は極めて当たり前のように見える。経営や事業の責任を負っている立場の人材であれば当然に自身のミッションを果たす上で経営理念やビジョンに対する共感や組織風土・マネジメントスタイルに対する一定程度の理解や納得感が前提となるからである。

 しかし本調査では、非デジタルの経営層、事業責任者層についても源泉となるワークモチベーションは何かという同様の質問をしているが、回答の上位は「やりたい仕事」や「給与などの労働条件」という回答結果であった。

 例えばデジタル人材の経営層は上位概念(経営理念・ビジョンなど)に対する共感重視が38.5%に対して、非デジタル人材の経営層は13.9%。逆にデジタル人材の給与などの労働条件に対する共感重視が18.0%に対して、非デジタルの経営層は31.9%といった具合である(図表2)。

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 この傾向は経営層に限らず、事業責任者層でも類似の傾向となった。こうしたデジタル人材、非デジタル人材のワークモチベーション格差は上位階層ほど拡大する傾向が確認された。

 昨今、日本に限らず人材マネジメントの取り組みの一つとして社員のエンゲージメント強化の動きが見られる。本調査結果は、一般社員やミドルマネジメント層に限らず経営層や事業責任者クラスでも、デジタル系、非デジタル系のそれぞれが異なるワークモチベーションを有することを示した。

 これを踏まえると、デジタル人材に関しては単に管理職向け、一般社員向けという区分ではなく、よりきめ細かな人事・人材施策を展開していく必要性を示唆しているといえる。

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