運転席に座ると、いろんなものがしっくりくる。まず最近のマツダ車はシートが非常に良い。特にMX-30では革シート信仰がないので、積極的に布シートが選べる。この生地が風合い、肌触り、面の張りともにとても良い。着座した時の空間での頭の位置にも違和感がないし、ステアリングやペダル類もすっと手足を伸ばした位置にちゃんとある。
室内のそこここにあしらわれたファブリックはペットボトル由来の再生材で、合皮にも有機溶剤を使わない。センターコンソールにあしらわれたコルク材はワインの栓の端材から作られており、SDGs的社会に大いに目配りしたものになっているが、それより大事なのは、それらがトータルで心地よいことだ。
マツダの流儀で、派手な加飾なしにキチンと読めるメーター類が秀逸。インテリアテイストも落ち着きのあるいいデザインである
メーターからインパネ、センターコンソールに至るまで、明るく現代的かつちゃんとスタイリッシュ。ボルボっぽいと言えばそうだが、バング&オルフセンあたりのようなイメージもあり、カッコよくしようという意図で作られているが、その意図が空回りしていない。
R-N-Dと直線に並び、Rの右にPを配した目新しいシフトの配列も直感的で使いやすい。パーキングは電動で最近慣れたとはいえ、この小さなスイッチだけは、人間工学面でちょっとマツダらしくないともいえるが、ブレーキホールドなどのADASとの整合を考えると電動パーキングの採用はもはや止む無しだろう。ただ他社並みでしかないインタフェースは、マツダ的に一考の余地があるのではないか? それだけマツダの人間研究には期待をしているのだ。
センタコンソールは上段を浮かせて、二重につくられている。なかなか個性的
- MX-30にだまされるな
マツダの電動化の嚆矢(こうし)となるMX-30をどう見るか? このクルマのキャラクターをつかもうと思うのであれば、変化球モデルだと思わない、スポーツ系モデルだと思わない、ついでにフリースタイルドアのことも電動化のことも全部忘れる。そうやって全部の先入観を排除して、普通のCセグのSUVだと思って乗ってみてほしい。その素直で真面目な出来にびっくりするだろう。
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マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
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東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
- マツダのEVは何が新しいのか?(後編)
「MX-30は魂動デザインなのか?」。答えはYesだが、第7世代の陰影デザインは、MX-30には緊張感がありすぎる。そこでさらに「陰影」自体も取り去った。そこに残ったのは優しくて健全なある種の健康優良児のような姿だった。
- マツダのEVがスーパーハンドリングEVになった仕組み
昨日の記事でマツダのEVの、常識を覆すハンドリングフィールについてのインプレッションを書いた。革新的なハンドリングはどうやってもたらされたのか。秘密は、エンジンよりも精緻な制御が可能なモーターを使って、Gベクタリングコントロール(GVC)が、常に接地荷重のコントロールを行い続けているからである。
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