第1部の様子をみていると、現場の従業員と経営陣の距離の近さを感じた。部署を超えて社員同士のコミュニケーションも活発に行われているのではないか。そう感じ尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。塩谷氏は「横のつながりを深めることが課題なんです」と話す。
「事業の数が多く、それぞれの事業ごとで採算を見ているので、どうしても縦割りになりがち。特に総務や人事系のバックオフィス側と事業側では距離が生まれやすくなってしまった。その解消のためにオフラインの施策をやっていたが、コロナ禍でより横のつながりが薄くなってしまっていた」
グループ全体の交流を深める意味も込めて、6月には全グループの従業員4000人を集めた全社総会を数年ぶりに開催する予定だったという。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で急きょ中止に。社内表彰イベントのみをオンラインで配信することにした。
これが同社にとって初めての社内向けオンラインイベントとなった。直接交流することができなかったが、オンラインで配信したことで、結果的に国内外のグループ企業に勤める従業員全員が視聴できる環境となった。従業員からは「会長の顔が見えると安心する」「普段コミュニケーションが取れない中で、会社の事業の内容を知ることができて良かった」といった声があがったという。
同社はこの反応に手応えを感じ、社内向けのオンラインイベント第2弾として「納会」を企画したという。8月末にオンライン納会の実施を経営陣に提案。開催に向けた準備に取り掛かった。
今回のイベントで意識したのは登壇者と参加者の双方向性だ。「6月の社内表彰イベントは、見ているだけの時間が多くなってしまった。今回は、視聴者が参加できる企画を積極的に用意した。また第1部では各部門の経営陣に登壇してもらい、それぞれの部門の従業員に、親近感を持って話を聞いてもらえるように工夫した」(進藤氏)
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