同社は17年、ハウス食品グループ本社に買収されて、完全子会社となった。背景には後継者問題があった。ハウスは「CoCo壱番屋」も15年に買収するなど、一芸に秀でた食の優良企業のM&Aに熱心なイメージがある。
ハウス出身の難波克章氏が新社長となり、19年にはブランドを一新。商品名を「マロニー」から「マロニーちゃん」へと改名した。
そして、20年2月には、「スープマロニーちゃん」を発売して、即席カップスープに参入。食べやすいショート麺を採用し、カップ麺の感覚で、熱湯を注ぐだけで手軽にマロニーを楽しめるようにした。量販店向けの商品で、当初は近畿と中四国のみの限定販売だった。8月には、好評につき九州へと拡大。順調な滑り出しを見せている。
アイテムは、鶏ダシたまご、うま辛担々味、まろやか鶏白湯、コクうま酸辣湯の4種類。
同社は、このように鍋用途以外のさまざまな商品拡大の試みを行ってきた。そうした努力がコロナ禍でステイホームが政府から国民に要請される中で、鍋の季節でもないのに販売が目覚ましく拡大するという成果に結びついた。
昨夏には、「しみこめ、スープ。まろにーちゃんす!」と題して、料理研究家のリュウジ氏やニューヨーク在住の人気ユーチューバーkemio氏とのコラボを展開した。YouTubeやTwitterで、マロニーを使ったチャプチェ、サンラータン、マーボー麺、春巻きなどを紹介。若い人向けのプロモーションを行った。
焼肉の残り具材にマロニーを加えてレンジでチンするだけで、チャプチェができる。残り物の中華スープに、卵とマロニーを入れてサンラータンにする、などといった簡単レシピが紹介された。
反響は大きく、動画がアップされた週に売り上げが2倍になるなど、ユーザーの広がりが見られた。
北米では、ベトナムの麺料理である「フォー」のようにマロニーを食べるのが浸透しており、まだまだ知られざる活用法が眠っていると言える。発売からそろそろ60年となる長寿商品なのに、食の未来を感じさせる大きな可能性を秘めているのがマロニーちゃんの魅力だ。
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