100円ショップは、引き続き消費者の根強い節約志向から底堅い需要が見込まれる。そのため各社は積極的に出店を進めている。このペースが続くと21年度中には大手5社の累計店舗数が8000店を超えるとみられる。
また消費者の「プチぜいたくニーズ」をくすぐる300円ショップなど、高価格帯の出店も盛んで、出店競争の加速に伴い100円ショップを含めたワンプライス業態全体の飽和感も強まっている。
一方で21年2月には、全国的に知名度の高い300円ショップの「ミカヅキモモコ」が経営破綻した。同業他店との競争激化に加え、インバウンドの失速によって店舗への来客数が落ち込んだことが要因で、価格帯や立地、顧客層によっても明暗が分かれている。
出店競争が加速するなか、既に同業や自社ブランド間での顧客獲得競争は激化している。「薄利多売」の100円ショップ各社が生き残るには、クオリティーやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要をつかむ新商品の投入など、価格面以外の魅力を訴求する戦略が求められている。
その中でダイソーは、「100円ショップ」の基本スタイルを保ちつつ、300円プライスの「THREEPPY」を拡大させるなど、高額商品も織り交ぜた商品作りをしている。実際に、同社が発売した電子メモパッドは価格が500円(税別)と、100円ショップとしては高額ながら、実用性の高さとコストパフォーマンスの良さがSNSを中心に話題となり、店舗によっては一時的に品切れとなっている。
キャンドゥにおいては、今後300円など高価格商品のラインアップを拡充していく。一方セリアでは高価格帯を意識しつつも100円均一の姿勢を維持する。大手であっても各社の戦略は多様だ。
新しい生活様式のなか、100円ショップ各社はいかなる戦略を打ち出していくのか。
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