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オンライン下で新卒を即戦力化するには? 社員40人の会社に28人の新入社員を迎え入れる社長の考え新卒1万7000人が殺到する会社の心得

» 2021年03月18日 07時00分 公開
[近藤悦康ITmedia]

 新卒採用で入社をする新入社員はビジネス経験がないから、育成に時間がかかり、即戦力人材となりづらい。そのように考える経営者や人事担当者の方が多くいらっしゃいます。しかし、近年では大学1、2年生が長期インターンシップに参加するなど、新しい常識が生まれ、新卒社員がすでにビジネスの経験をしているケースもあります。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 当社では、コロナ禍の2021年卒採用で、当初の採用目標人数15人から大幅に枠を拡げました。4月には28人の新卒社員が入社する予定です。多くの企業が採用枠を減らし、優秀な学生を採用できる確率が高まったことに加え、新卒社員を即戦力として育成すれば会社を成長させられると考えたからです。

 しかし産労総合研究所によると、企業の2割が「20年4月に発出された緊急事態宣言により、入社式直後から行う予定だった研修を遅らせた」と回答。6割近くが「習得してもらう内容・要素をやむを得ず減らした」と答えました。リモートワーク下で新卒社員を即戦力化することはできるのか、筆者の考えをお伝えします。

筆者:近藤悦康(株式会社Legaseed代表)

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 “日本一学生を集める”新卒採用のプロ。大学院に進学と同時に、人材教育会社に入社。営業部に配属される中、新しい新卒採用人事の仕組みを作り出し、1年間で2万人以上が応募する企業に発展させた。その後独立し、人材採用と人材育成のコンサルタントを経て、2013年11月、株式会社Legaseedを設立。人材採用コンサルティング、 社員教育・組織活性コンサルティング、学生向けキャリア教育事業などを手掛ける。創業7年で応募者1万7000人企業に成長した。

 同社のユニークな人材採用コンサルティングの手法と採用活動が話題となり、テレビや雑誌をはじめ多数のメディアに採用の様子が取り上げられ、注目の経営者となる。昨年の「楽天みん就」による、2021年卒学生のインターンシップ人気企業ランキングにて、大手企業を抑え10位にランクイン。

 主な著書に「はたらくを、しあわせに」「伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法」(共に、クロスメディア・パブリッシング)、「内定辞退ゼロ」(実業之日本社)などがある。


社員が自ら成長する文化をつくる

 まず、新卒社員を含め、自社の社員を成長させたければ、「会社が自分を成長させてくれる」という考えではなく、「自分が会社というフィールドを使って成長する」という考えを社員に浸透させることが必要です。仕事時間はスポーツで例えると試合時間です。試合中に練習をしたり、成長を期待したりする人はいません。試合は結果をつくること、記録を残すこと、勝負に勝つことが目的です。結果にフォーカスするのが試合時間です。

 そのためにそれ以外の時間で自主練習をします。仕事でいえば、自分を高めるためにロールプレイングをしたり、本を読んだり、資料を制作したり、プログラミングに取り組んでみたり──。仕事中に結果が出せるよう、仕込みをする必要があるのです。

 新卒社員に初めに伝えるべきなのは、学校とはお金を払って学ぶ場ですが、会社とはお金をいただいて価値を創造する場であるということ。学生気分のまま入社をしてしまうと、いつまでも会社が社員のお世話をし、成長できる環境を整えなければいけなくなります。

広がる「ジョブ型採用」の考え方

 さらには、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが推進されたことによって、ジョブ型採用が日本でも注目されつつあります。

 これまでは“総合職採用”など、職種を限定せずに総合的なスキルを見極め、入社後に適正を見て配属を決める「メンバーシップ型採用」が主流でした。しかし、専門職が育ちづらく、時短勤務や在宅勤務といった、多様化する働き方にも合っていませんでした。

 そこで注目されているのが仕事内容に必要なスキルがあるかで判断する、ジョブ型採用です。仕事の範囲を明確化し、より専門性を高める採用方式です。

 これまでのように総合職採用で入社し、数カ月かけてじっくり研修を行う“温室育ち”では、コロナ禍における社会の変化に会社が対応できません。中小のベンチャー企業をはじめ、急成長している企業は、新卒社員であっても、いち早く即戦力化できるジョブ型採用に注目しています。

新卒社員を即戦力化する3つの“交流試合”

 当社では、新卒社員に即戦力として現場で活躍してもらうために、デモンストレーションとして“交流試合”の場を設けています。これは、現時点の自分のスキルが“試合中”にどれほどの力を出せるのかを試せる場として機能しています。

 一部、実例をご紹介します。

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