2021年は、東日本大震災から10年という節目の年となった。その間も16年の熊本地震や18年の北海道胆振東部地震、さらには各地で豪雨による水害などが相次いだ。個人のみならず企業でも、防災に取り組む重要性は明白だ。
しかし、実際に災害を想定して“万全に”備えるのは難しい。コロナ禍により働き方が変化している現在、これまでの防災マニュアルや取り組み方では対処しきれない場合もあるだろう。
そのような中、在宅医療事業部の9割が外勤スタッフであるという訪問看護のケアプロ(東京都・中野区)では入念な対策を心掛けている。いざというとき、各地に散らばったスタッフの命を守るにはどうしたらいいのだろうか。
「練習でやった以上のことは試合ではできない。防災においてもそれは同じ」と話す金坂宇将氏(在宅医療事業部 事業部長)に、ケアプロが防災のためにどのような“練習”をしているのかを聞いた。
ケアプロが設立されたのは2007年のこと。当初から、オフィス内にとどまるのではなく、ヘルスケアチェックなどのため出張することをサービスとして行っていた。12年にはケアプロ訪問看護ステーション東京を開業し、訪問看護に力を入れるようになった。
オフィスなど目の届く範囲に従業員がいれば、災害が起きたときにけががないかなどすぐに把握できるが、訪問看護事業ではそうはいかない。在宅医療事業部の9割が、利用者宅を訪問するためなどで外に出る現場スタッフなのだ。シフト表などで、どこにいるかは分かっていても、いざというときの安否までは分からない。
そのため「業界的に、いつかは防災に真剣に取り組まねばならないと思っていた」と金坂氏は話す。とはいえ「緊急性が低かったためなかなか取り組めなかった」と振り返る。転機が訪れたのは、防災に高い意欲を示すスタッフが数人入社した16年のことだった。
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