オンボーディングは「内定承諾時から始まっている」! 入社辞退・早期退職を防ぐコツこれからの採用戦略を考える(3)(2/3 ページ)

» 2021年04月16日 07時00分 公開

 コロナ禍では対面での交流が難しいので、オンラインでの実施やビデオメッセージなどを活用するのが良い。チャットツールを活用してコミュニケーションを図っている企業もある。入社前の取り組みは単発で終わらせず、複数回、継続的に行うのが良い。入社者の不安を取り除くために、どれだけやってもやりすぎということはない。入社を歓迎していることを、心から実感してもらうことが何より大切だ。

 退職交渉の際に、現職の企業から引き止めにあうリスクもある。人材紹介会社経由で採用した場合、入社日までのケアは人材紹介会社が中心に行うが、企業が直接採用した場合は企業の人事・採用担当者が対応しなければならない。内定辞退を引き起こさないためにも、内定承諾後をスタートと捉えてオンボーディングを設計しておくことが役に立つ。

 入社者の気持ちを安定させるために、入社書類の手続きや、入社後のスケジュール共有などの業務連絡だけではなく、ヒューマンタッチ(人間味や温かさのある)の交流を大切にしていただきたい。

入社当日の歓迎と最低限の準備

 入社当日の歓迎として外資系企業でよく見られるのが、ウェルカムキットだ。PCなどの必要機器と一緒に、名刺、会社のロゴ入りの文房具、ネックストラップやマグカップなどの雑貨、チームメンバーからの寄せ書きなどが添えられている。入社者は温かい歓迎を感じることができ、会社への期待や愛着が高まる。

 リモート環境下であれば、オンラインで作成できるメッセージカードや寄せ書きなどを利用することも可能だ。受け入れ側にも、どのような人が入社するか、どのような仕事を担ってもらうかのアナウンスを事前に行い、入社当日にチームメンバーからも声がけを行ってもらうなど、入社者がなじみやすい環境作りに務めていただきたい。

 多くの施策ができずとも、入社当日に最低限徹底してほしいのが、PC、新品の文房具、オフィスに入るためのセキュリティカード、名刺などの、仕事に欠かせない備品の準備だ。やる気に満ちて入社した社員も、入社当日に使える自分のPCが用意されていなければ、がっかりすると同時に企業に不満を持つ。セキュリティカードや名刺などが用意がされていないと、この会社は大丈夫なのか、自分は受け入れてもらえていないのかと、不安を募らせる。

 大企業では当たり前に行われていることかもしれないが、準備に十分な時間がさけなかったり、人手不足で手がまわっていないという会社もよく見かける。一番期待の高まっている入社日だからこそ、その期待を壊すことがないよう注意が必要だ。

試用期間の目標設定を欠かさない

 研修制度の有無を含め、企業、部門、職種、役職などによってオンボーディングの内容や方針はさまざまだが、共通して必ず行うべきなのが「目標設定」だ。何を達成すれば試用期間をパスできるのか、目標数字やアクションプランを定め、入社者がやるべきことを明確にする。

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