――アイリスオーヤマのプレゼン会議では、新製品の企画段階で売価もほぼ決まっているのですね
いくら機能が便利でも、価格が高いとあまり売れませんので、値ごろ感は大切です。我が社の場合、企画を考えるのが開発者なので、どの素材を使って、どんな加工をすれば、だいたい何円かかるかなど、企画段階でコスト感が分かる人が多いのです。ですので、試作品を製品化するときなどに、コストが大幅に上がることはほぼありません。想定よりもコストが上がった場合は重量を減らすことで配送コストを抑えたり、素材を変えるなどの努力をします。それでもコストが大幅に合わない場合は、アイリスオーヤマに合わない製品として、開発を辞めてしまうこともあります。
――新製品のアイデアから、プレゼン会議までの流れを教えてください
家電開発部は、調理家電や生活家電などの9つのチームに分かれており、各チームごとに自分が欲しい機能や思いついた機能を出し合います。新しいアイデアが浮かんだら、すぐにチーム内で会議をすることもありますが、プレゼン会議に向けたアイデア会議も行っています。
それらの会議で「行けるだろう」と意見がまとまれば、アイデア段階で思い描いていた価格帯で生産可能かなどを確認するために、ある程度まで設計を進めます。設計が8割程度できた段階でプレゼン会議に提出し、ジャッジを待つのが大雑把な流れです。
新しい技術がなければ、思いついたその週にプレゼン会議へ出すこともありますが、新しい技術が必要な開発の場合、工場の設備費用にかかるコストなども計算するため、発案からプレゼン会議まで、数カ月かかることもありますね。
あくまでも顧客の使い勝手を優先した開発“ユーザーイン”について、熱く語る原氏。大阪R&Dセンターでインタビューに応じてくれた
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