毎年、春には賃上げ労使交渉が行われています。本稿では、2021年の集計結果を報告します。これからの社員の賃金決定の参考にしてください。
労使交渉のデータを見るためには、まず定期昇給とベースアップの意味を理解しておく必要があります。図表1は、その概念を示す図です。
定期昇給とは、その企業の賃金制度や賃金規定のルールに従って、昇給する部分です。賃金制度にはさまざまな種類があり、年齢給、職能給、職務給などがあります。その考え方に従った賃金テーブルを作成し、運用ルールにもとづいて昇給額を決定します。
その際、人事考課の結果を反映し、プラス評価、標準評価、マイナス評価に応じて昇給させます。図表1では、A点からB点への上昇に該当します。
一方、ベースアップは、賃金カーブの底上げです。労使交渉において、労働側は物価の上昇などを理由に、経営側は生産性や利益の向上を理由に協議してきました。1000円のペースアップがあると、全ての賃金テーブルの額は1000円プラスとなります。つまり、賃金カープ全体が上方向へ移動するので、図表1ではB点からC点の移動に該当します。
従って、定期昇給とベースアップの両方が行われると、A点からC点へ移動し、その上昇分が昇給額となります。
図表2は、連合が4月15日に公表した回答集計の結果です。このデータには、定期昇給とベースアップが含まれています。集計企業は1000人以上の大企業から100人未満の中小企業までです。
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