一方、デメリットとしては偶発的な出会いがなくなった点があげられるという。例えば、合同会社説明会では、他の業界志望の学生がたまたま目にとまった同社のブースに興味を持ち、やってくるといったことがあった。しかし、オンラインだと自分の志望企業や業界を検索してやってくる学生が多くなった。
他にはエンゲージメントをどう醸成するかという点も課題だという。先に触れたセミナーのなかには、子育て中の社員がどのように働いているかをテーマにしたトークセッションもある。学生からは、福利厚生についての話が聞けて安心したという声が多数寄せられた。
福利厚生についてあまり聞くと選考が不利になると考える学生が多いようで、これまでリアルの説明会では、終了後、人事担当者を直接つかまえて聞く学生が多かった。「こういったニーズにオンラインでも応えていくことがエンゲージメントの醸成に重要」と小林氏はいう。
コロナ収束後の採用活動方法については、現時点では未定だ。しかし、遠隔地の学生ばかりではなく、関東近郊の学生にとってもオンラインは時間の節約になる。状況をみながら考えていきたいとのことだ。なお、直近の2022年度新卒採用活動においては、引き続きフルオンラインで実施し、481人の採用を予定している。
以上、メンバーズの採用活動のフルオンライン化について説明してきた。同社のようなフルオンライン化は珍しいが、コロナ禍により、多くの企業が採用活動のオンライン化に取り組んだ。ワクチン接種が始まるなど、コロナ禍は収束に向かうことが期待されるが、オンライン化には遠方の学生が応募しやすくなるなど、メリットは多い。今後も取り組む企業は増えていきそうだ。
(取材・文 小林信一)
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