#SHIFT

新卒採用のオンライン化、デメリットも明らかに どう解決したのか全部オンラインの企業に聞く(3/3 ページ)

» 2021年06月04日 07時00分 公開
[人事実務]
前のページへ 1|2|3       

 一方、デメリットとしては偶発的な出会いがなくなった点があげられるという。例えば、合同会社説明会では、他の業界志望の学生がたまたま目にとまった同社のブースに興味を持ち、やってくるといったことがあった。しかし、オンラインだと自分の志望企業や業界を検索してやってくる学生が多くなった。

 他にはエンゲージメントをどう醸成するかという点も課題だという。先に触れたセミナーのなかには、子育て中の社員がどのように働いているかをテーマにしたトークセッションもある。学生からは、福利厚生についての話が聞けて安心したという声が多数寄せられた。

photo 子育て中の社員がどのように働いているかをテーマにしたトークセッションもある=メンバーズ提供

 福利厚生についてあまり聞くと選考が不利になると考える学生が多いようで、これまでリアルの説明会では、終了後、人事担当者を直接つかまえて聞く学生が多かった。「こういったニーズにオンラインでも応えていくことがエンゲージメントの醸成に重要」と小林氏はいう。

 コロナ収束後の採用活動方法については、現時点では未定だ。しかし、遠隔地の学生ばかりではなく、関東近郊の学生にとってもオンラインは時間の節約になる。状況をみながら考えていきたいとのことだ。なお、直近の2022年度新卒採用活動においては、引き続きフルオンラインで実施し、481人の採用を予定している。

 以上、メンバーズの採用活動のフルオンライン化について説明してきた。同社のようなフルオンライン化は珍しいが、コロナ禍により、多くの企業が採用活動のオンライン化に取り組んだ。ワクチン接種が始まるなど、コロナ禍は収束に向かうことが期待されるが、オンライン化には遠方の学生が応募しやすくなるなど、メリットは多い。今後も取り組む企業は増えていきそうだ。

(取材・文 小林信一)

人事月刊誌『人事実務』〜これからの働き方とキャリア形成〜

photo

 『人事実務』誌は、産労総合研究所(創立1938年)が発行する人事専門情報誌です。

 見本誌はWebで閲覧できます。

 

【『人事実務』の特徴】

・先進企業の取り組みを毎号3〜5事例掲載

・本誌でしか読めない独自調査を掲載

 

 本記事は『人事実務』(2021年5月号)連載「企業の採用最前線」より「メンバーズ」を一部抜粋、要約して掲載したものです。当該号の詳細はこちらからご覧いただけます。


前のページへ 1|2|3       

© 人事実務