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» 2021年05月19日 06時00分 公開

「上司が合わない」「面接時の業務内容と違う」――入社後のミスマッチ、どう対応? 4つの原因から探るこれからの採用戦略を考える(4)(1/3 ページ)

採用のミスマッチをゼロにすることは難しい。人事・採用担当者は、問題が起きてしまったときに備える要がある。4パターンのミスマッチを挙げ、対応法を紹介する。

[狐崎壮史(エンワールド・ジャパン),ITmedia]

 採用のミスマッチをゼロにすることは難しい。

 本連載では、採用目的の明確化や候補者とのコミュニケーション方法、書類審査や面接などの選考段階で、どのようにしてミスマッチを防ぐかについて述べてきた。これらの努力がミスマッチを減らすために重要であることは間違いない。

 一方で、人事・採用担当者は離職リスクの存在を常に念頭に置き、入社後に問題が起きないように備えつつ、問題が起きてしまったときに対処するすべを把握しておく必要がある。

画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 定着率の向上に力を入れている会社は、なぜ退職が起きたのか、会社ができることはなかったのか、振り返りを行っている。入社1年未満での離職が多い企業では特に、退職者と面談(エグジットインタビュー)を行って原因を究明し再発防止に努めなければ、状況は改善しない。

 採用の仕事は入社までではない。入社後、配属先でキャリアゴールを実現させるためのサポートや適切なトレーニングの提供など、入社者と企業の双方が成長・発展するための重要な調整役であることを覚えておいていただきたい。

入社後ミスマッチの種類と対処法

 入社後のミスマッチには、いくつか種類がある。本記事では、特に中途入社の例を用いて4つの例を解説する。

(1)業務内容・職責のミスマッチ

 業務内容や職責は、面接時にしっかりと擦り合わせができていれば、本来ミスマッチは起こりにくい。しかし、既存社員の急な離職や、外資系企業においては本国からの要請による組織変更など、大きな外部環境の変化が起きた際にやむを得なく発生してしまうこともある。

 外資系企業などで比較的よく起こるケースとして、面接や採用判断を行った採用マネジャーや部門マネジャーが、転職者の入社前に退職してしまうことがある。

 新しい部門長のもとで新しい体制になると、予定通りのポジションに就いても、仕事のカバー領域が変わっていたり、同じ業務でも目標や方針が変更されていたりすることがある。入社の意思決定の際に思い描いていた転職先でのキャリアプランが達成できなくなってしまうため、入社者は違和感を覚えてしまう。

 管理職の場合、企業側の都合で任されるはずだった責任範囲が縮小していると、キャリアダウンにつながることもある。

 このような場合、部門の責任者と入社者、人事の三者で即座にミーティングを行うことが有効だ。

 面接時に何を話し、どの仕事を任される予定で、どのような成果を期待されて入社したのかヒアリングを行う。企業側は予定通りに戻せるのかを検討し、難しい場合は話し合って落としどころを見つける。本人が合意した場合、より適切なポジションへ配置転換するのも良い。早期に話し合いを行って入社者の不満を解消し、納得できる職務や仕事を提示することができれば、離職は防げる。

 ある外資系保険会社で起きた実際の事例を紹介する。

 当社では、転職者の入社後もキャリアコンサルタントが定期的にキャッチアップを行い、新しい職場での状況確認などを行っている。その中で、「入社前に聞いていた仕事内容と異なる」という不満の声が上がってきた。詳細を伺って企業の人事担当に連絡し、このままでは退職の恐れがあるということを話した。その結果、企業内で話し合いが行われ、事態は無事に収束した。

 本件では上司の変更は起きていなかったが、上司が入社者の成長のチャンスと考え新しい仕事を用意していた。

 上司には善意だったが、当人は業務の変更を望んではいなかった。単純なコミュニケーション不足ともいえるが、入社してすぐに、上司に思っていることを全て伝えるのは難しい。また、上司も面接や面談を通し入社者のキャリアプランをしっかりと把握できていれば、このような誤ったかじ取りをしなかったかもしれない。

 このような面談は人事が率先して設け、同席して話に介入し、適切な解決に導く役割を担う必要がある。状況が是正できなければ退職のリスクがあることを理解した上で、慎重に対応しなければならない。

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