「上司が合わない」「面接時の業務内容と違う」――入社後のミスマッチ、どう対応? 4つの原因から探るこれからの採用戦略を考える(4)(2/3 ページ)

» 2021年05月19日 06時00分 公開

(2)業務能力・スキルのミスマッチ

 能力のミスマッチは、企業の期待値との乖離だといえる。このミスマッチを防ぐために行ってもらいたいのが、入社後すぐのキャリア面談だ。

 仕事内容やキャリアプランを再度擦り合わせ、定量・定性の目標と達成期日を決定する。入社から3カ月は定期的にキャッチアップを行い、進捗度とできていること、できていないことを確認する。

 マイルストーンを設定して進めていけば、企業と入社者の目指していたものが違ったということは起こらない。順調に進んでいない場合でも、つまずいている原因を特定できれば、教育やリソースの提供など解決に向けたサポートが可能だ。仕事の進め方や考え方のずれなど、問題が小さいうちに早期発見し、解決に導くことが求められる。

 フォローを行いながら目標達成に向けて進んでいけば、面接時の見誤りを除いて、重大なミスマッチにはつながらないはずだ。人の能力を測るのは難しいが、入社後の能力を誰かの主観のみで評価してはならない。あらかじめ設定した目標の達成有無は客観的な判断指標となる。そのためにも、目標設定は欠かせない。

(3)職場の文化・社風のミスマッチ

 本音と建前を使い分ける日系企業において、文化・社風のミスマッチは起こりやすい。

 例えば、「残業は少ないと聞いていたが、会社の雰囲気で先に帰宅しづらい」「在宅勤務推奨と明示されていたが、同じ部門の人が出社していて自分も出社せざるを得ない」など、入社してからしか分からない会社の文化に関連して発生している。

 昨今、企業の口コミサイトの増加や、採用広報の強化が進み、企業の透明性は上がっている。しかし、オンライン上の情報だけで全てが伝わるとは言い難い。入社後に問題が起きることを回避するためには、入社判断前に社員と交流してリアルな声を聞いてもらったり、質問しやすい雰囲気でオファー面談を行ったりするなど、機会の提供が有効だろう。

(4)上司との相性のミスマッチ

 経営層からリーダー職まで、上司となる人にもいろいろなタイプがいて、マネジメント方法もさまざまだ。仕事の管理方法や進め方は、実際に一緒に働いてみないと分からない部分が大きい。

 これについて問題があるときは、当事者間で話し合うしかない。一対一で話をしても解決が難しい場合や、関係がこじれたりする場合もあるため、客観的な視点を挟むために人事が同席するのが良い。そして、その場で話したことが実行されているかどうか、人事が定期的にフォローアップしていくのが良い。

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