KDDIが、ジョブ型人事制度の導入を進めている。そこには2つの理由がある。
一つは近年、KDDIグループが事業領域を急速に多角化していることだ。象徴的なサービスを挙げると、じぶん銀行=金融、auでんき=エネルギー、auの生命ほけん=保険といった名前が浮かぶ。
実際、同社の「通信とライフデザインの融合」と題するページには、「KDDIの持続的成長をモバイル通信事業のみに依存するのは難しいと考えています」とあり、前述の金融・エネルギー以外にもさまざまな領域の商品やサービスを大きく育てると宣言している。その上で、2019年5月に発表した中期経営計画では、22年3月期のライフデザイン領域の売上高を1.5兆円に拡大することを目標としている。
KDDIはジョブ型人事制度を、このように拡張する事業領域に合わせて取り入れた。同社の横尾大輔氏(コーポレート統括本部 人事本部 人事企画部 部長)は、「事業領域が多様化しているので、対応する人材の確保は喫緊の課題。キャリア採用を強力に推進している。それに適合した人事制度としてジョブ型への移行は必須だった」と明かす。
そして、ジョブ型の導入を進めるもう一つの理由は、若い社員の意識変化だ。横尾氏は「従来型の終身雇用、年功序列型の制度は、若い人の仕事観、職業観に合わなくなってきている」と説明する。
これらの理由を軸に設計したジョブ型制度の対象者は、全社員だ。20年8月の一部導入を手始めに、22年春までに段階的に制度を移行していく予定だ。
専門職や管理職だけをジョブ型に移行する企業も多い中で、全社員対象とは、思い切った改革に打って出たように感じる。その中身も欧米型のような、振り切ったドライな制度なのだろうか。
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