その工夫とは、大地や空といった自然の中に見られる色を多用したこと。「リラックス効果のある青、安心感を与えるベージュ、いら立ちやストレスを和らげるグレーなど、バイオフィリックデザインの観点からも集中力に良い影響を与えるといわれる色を選んだ」という。
2つ目は光だ。天井の蛍光灯は、集中力に寄与しないので消灯。代わりに各ブースにダウンライトを配置したり、自然光を取り入れられる窓向きの席を設置したりして、それぞれが集中しやすいと感じる環境を選べるようにした。
最後は音への工夫だ。「集中と発散のエリアを分けてはいても、隣接していると注意力を阻害するような音が入ってきてしまう。そこで、High Focusエリア全体にサウンドマスキングを施している。音に対する配慮は、Web会議やオンライン営業が一番化するニューノーマル時代の働き方に、なくてはならないものだと考えている」
オープンにできない情報などを扱うHigh Secureエリアとの間にもサウンドマスキングを施し、防音機能のあるWeb会議用ボックスも複数台配置。High Focusエリアでは、集中力を高めるためだけでなく、セキュリティの観点からも、音響への配慮を行っている。
現在では平均出社率が20%という浜松町オフィスだが、つなぐオフィス全体は、出社率を50%と仮定。それでも座席を各自が選べるほど余裕を持たせ、ABWを実践できるようにした。
予約時に役立つのが、ネットワークカメラ「MOBOTIX」(モボティクス)と「座席予約アプリ」だ。MOBOTIXでオフィス内の混雑状況を確認し、座席予約アプリで社外から座席を予約できる。
座席予約アプリでは、利用時間だけでなく、どのような業務を行いたいかという目標を入力するようになっている。退席時には、目標達成率などに関するアンケートもアプリ内で行う。これにより、従業員は“やる気スイッチ”が入り、生産性がアップするし、会社はオフィス環境見直しのための情報を得られる。コニカミノルタジャパンのつなぐオフィスは、3つの価値(創造性、業務効率、エンゲージメントの価値向上)を高めるため、空間以外のものまでしっかりとデザインされたものだったのだ。
いったんリニューアルオープンとなったつなぐオフィスだが、これで終わりではないとコニカミノルタジャパンでは考えている。時代の変化に従い、オフィスに求められるものも変わり、それに対応していく必要がある。
とはいえ、オフィスという物理的な空間を変えるのには膨大なコストが掛かりがちだ。そこで、つなぐオフィスでは、家具のサブスクリプションサービスを利用している。また、新たに壁を構築することなく、フロアの両端にもともとあった壁をそのまま利用してHigh SecureとHigh Functionエリアを配置したこともコスト削減に寄与している。
リニューアル自体にコストをかけず、今後もかからないような工夫をしているのが、つなぐオフィスというわけだ。
ところで、なぜ“つなぐ”オフィスというネーミングになったのだろうか。
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