HR Design +

「指示待ち」「官僚的」な社風が一変 湖池屋の好業績の陰に“人事改革”あり その中身は?“チャレンジできる社風”作り(3/3 ページ)

» 2021年11月25日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「心理的安全性がある風土」でチャレンジを誘発

 湖池屋が進める人材開発を一言で表すと「心理的安全性を担保した制度」といえよう。心理的に安全なフラットでチャレンジしやすい風土を形成するためにいくつかの施策を進めている。例えば同社では、ダイバーシティーに対する取り組みにも力を入れている。1953年創業で小池一族の同族経営の時代が長かったことや、多くのメーカーにありがちな傾向として女性が活躍できる環境が整っていなかった。

 実際、女性役員は皆無で女性管理職の比率も低い。「社長の佐藤自ら27人の女性社員と1on1ミーティングを行うなどして女性社員の躍進を鼓舞すると同時に、女性がキャリアパスを築くための土壌作りも推進している。女性も含めた人材開発は経営戦略の軸だという認識」(八代氏)だという。

photo 風土改革にも取り組んだ(資料は湖池屋提供)

 また、自由闊達なコミュニケーションを実現するためのフラットな組織を目指し「さん」付け運動も推進しているという。例えば、各部門の上長は、部下から役職名ではなく「○○さん」と呼ばれることで、役職は単に役割を示すものであって、部署を運営するための役割を与えられているにすぎないということを常に意識させられるそうだ。

 上司と部下が人間的にフラットな意識を持って接することでコミュニケーションが自由闊達に行えるというメリットがある。社長の氏名は「佐藤章」だが、社内には「佐藤」が複数名存在するため混同を避けるため社長のことを“あきらさん”と呼ぶ社員もいる」(田畑氏)と笑う。

 新卒採用人材の育成についての考え方にも特長がある。「基本的に10年で3部署を経験してもらうようにしている」(田畑氏)という。このような仕組みについて八代氏は、「人は部署や職種という仕事上の境界線を越え新しい環境に置かれたときにその能力を伸ばす。同じところに2〜3年いると伸びは停滞する。10年で3部署という形で、新しい場所に越境することで、能力をどんどん伸ばすことを期待している」と人材育成に対する独自の考え方を披露して取材を結んだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.