全固体電池とは、電解質を固形の物質とすることで、熱に強い特性を得ることができる電池のことだ。以前は理論上では考えられていただけであったが、固体電解質でリチウムが素早く移動できる物質が見つかったことで、開発は加速している。
それでも実際に電子を運ぶのはリチウムであれば全固体リチウムイオン電池となり、起電力などは従来のリチウムイオン電池と変わらない。
しかし安全性が高まれば、電解質内のリチウムの量を増やして大容量化することができるし、急速充電を行っても冷却装置を簡素化できるので軽量化にも結び付く。大容量化と急速充電の高電圧化、さらには軽量化でBEV(バッテリーEV、電池の蓄電だけで走るEV)の走行性能を高めることができる、というのが全固体電池に熱い視線が集まっている理由だ。
ただし全固体電池という構造は同じでも、実は電解質に何を使うかによって、その特性は変わってくる。現在開発されているのは酸化物系、硫化物系、窒化物系の3種類に分類されている。トヨタが開発しているのは硫化物系といわれており、出力特性が高いが発熱時には硫化水素ガスを発生させる可能性もあるため、安全対策も万全にする必要がある。
今回、日産は全固体電池の新たな電極素材に目星がついたとして、24年度中に試作生産ラインを稼働させるという。目指す性能は液系リチウムイオン電池に比べて容量2倍、充電時間は3分の1らしい。これが実現できれば凄いことだ。
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