クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

2021年乗って良かったクルマ池田直渡「週刊モータージャーナル」(8/8 ページ)

» 2021年12月13日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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カローラクロス

 カローラクロスはその考え方において、アクアととても似ている。その中心にあるのはやはり「足るを知る」である。ただし、やはりその「足る」の世界はアクアより少し広く、今やあまり耳にしなくなった「中産階級」の幸せな世界がある。

 大人4人が余裕を持って乗れる空間。それに加えて、キャンプやスノボの道具も積める。2人乗りならスポーツ系の自転車でさえ立てて積める。そういう文化的で幸せな生活のツールとして、機能するクルマに仕立てる一方で、過剰を上手く削ぎ落として価格を抑制しているところがまさにカローラらしい。

 今や、売れ筋の中心となったSUVは、おそらく台数的にセダンとは比べものにならないほど売れるだろう。そう考えればカローラクロスは20年代のがファミリーカーのど真ん中であり、SUVをスタンダードにした時代のカローラである。

 クルマとしての趣味性を求める人にとってはかすりもしないのは重々承知で、多分トヨタはカローラクロスを仕立てている。自分と家族が暮らしていくときにあるべき道具は何かという問いに真っ正面から向かい合ったクルマだと思う。

 さて、21年のクルマはいかがだっただろうか? 筆者はいろんな意味で日本車の熟成を感じたと結んでおこう。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。


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