クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

2021年乗って良かったクルマ池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/8 ページ)

» 2021年12月13日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 別に、一般論として水素の方がベターだといっているわけではなく、政府指針の通り、2030年台半ばから純ガソリンエンジンを本当に禁止するならば、BEVもFCEVもまだまだ課題がある。エネルギー補給に不安を感じたくない人の選択肢は現時点ではハイブリッド(HEV)一択だと思う。

イワタニ水素ステーション芝公園(トヨタWebサイトより)

 しかし、世の中には旅行前に時刻表と首っ引きでどこで何時にどの電車に乗り換えるかを計画することが楽しいという人もいるので、そういうタイプの人はBEVでもFCEVでも、楽しく旅行できるだろう。筆者はそういうのは面倒臭い。もっと自由に気ままに行き先を選んだり変更したりしたい。

 そのあたりは丁寧に説明しておかないといけないが、あくまでも人のタイプによる。筆者のようなタイプは、まだ当分はHEVかICEを選んでいた方がいいと思うが、ある程度の制限を許容できる人ならばBEVもFCEVももう使い物にならない時代ではない。ただし、「もう全く問題がない」というのもウソだ。使い勝手はそこそこ面倒臭い。

 ということでMIRAIに関してはクルマの出来はかなり素晴らしく、多くの人にお勧めしたい反面、水素インフラ的にはまだお勧めできない。唯一、自宅周辺で水素充填環境が整っているという幸運な人には大きなアドバンテージであるので検討の余地があるかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.