日本人は「中国企業は技術力がゼロなので、とにかく日本企業の技術が欲しくてしょうがない」という思い込みが強いが、安徽中鼎控股集団は1980年に設立し、中国だけで30の子会社、海外でも10の子会社を持ち、非タイヤゴム企業では中国ナンバーワンで、既にそれなりの技術も持って成長をしている。
こういう企業が世界に山ほど出てきている中で、これまでのビジネスモデルが通用するわけがないのだ。高度経済成長期に確立された日の丸半導体のビジネスモデルが90年代に入っていとも簡単に敗れていったことが、その証左である。
しかし、日本社会にはまだ「先人がつくったビジネスモデルを守るのが経営者の仕事」と考える人が大勢いる。世界や時代がどう変わろうと、これまであった事業を継続させて、雇用を維持することこそが、日本企業の成長、復活につながると信じて疑わない。
戦時中、「神国日本は絶対に負けない!」と叫んで、若者が2000万人特攻すれば戦局をひっくり返せると真顔で言ってのけた帝国軍人と同じ過ちに陥っている。
「惨敗」を避けるため、負けるところは負け、あきらめるところはあきらめる。これからの日本企業の経営者に必要なのは、このようなシビアな決断をする「覚悟」ではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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